ふぉぐです。
ついさっき、『男はつらいよ 寅次郎の告白』を観終わったので、さっそくレビューしていきたいと思う。
ちなみに、ネタバレ全開でレビューしていくので、まだ観ていない方はご注意を。
では、さっそくレビューに移ろう。
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『男はつらいよ 寅次郎の告白』ってどんな映画?あらすじは?
『男はつらいよ 寅次郎の告白』は、1991年公開のコメディ映画。男はつらいよシリーズの第44作。
監督は山田洋次。主演は渥美清、倍賞千恵子、前田吟。マドンナ役に後藤久美子。
あらすじとしては、「東京へ就職口を探しに来た泉だったが、あえなく失敗。残念そうに名古屋へ帰ると、ある理由ですぐに家出をしてしまうのだった」という物語である。
満男の元へ、泉から電話がかかってくる。
どうやら泉は、高校を卒業したら東京で働きたい…と思っていて、名古屋の高校の先生の紹介で東京の楽器店へと面接に行くのだという。
満男は泉を東京駅まで迎えにいき、その日はちょうど寅次郎も帰ってきたので、みんなで楽しいひと時を過ごすのだった。
次の日、満男の付き添いで銀座の楽器店へと向かう泉。
しかし、楽器店の店員から高卒での就職は難しく、推薦枠もない…とのことで、諦めざるを得なかった。
失望の元で名古屋へ帰る泉。
名古屋では、水商売をしている母が客の男性と家へ帰ってきて、そのストレスで我慢ならなくなってしまった。
泉は、一人で鳥取へと家出をしてしまう。
満男は、泉に用事があって電話をかけると、母親の礼子が出て、「泉が家出をしてしまったの」という話を聞く。
いてもたってもいられなくなった満男は、さくらの制止も振り切って鳥取へと向かうのだった。
その頃、鳥取では寅次郎が商売をしていて滞在していた。
鳥取のとあるおばあさんの元に泊まることになった泉は、豆腐を買い出しに行くところで偶然寅次郎と遭遇。
鳥取に来た経緯をあえて聞かない寅次郎に安堵するのだった。
『男はつらいよ 寅次郎の告白(第44作)』は、寅さんの不器用さを改めて表現した作品だった
というわけで『男はつらいよ 寅次郎の告白』を観終わった。
まず最初の感想としては、
「今作は寅さんの不器用さを改めて表現してるなぁ…」
ということに尽きるだろう。
むしろこれ以外にないような気もする。
それは、今作『男はつらいよ 寅次郎の告白』の題名である、
「告白」
という言葉にも表れている。
寅さんは、告白をしない。
今作で、満男と泉が川原で話しているシーンのセリフで、
満男「おじさんは、手の届かない女性には惚れるのに、自分に惚れてる女性だとわかると逃げちゃうんだ」
というものがある。実に感慨深いセリフだ。
そう、つまりこのセリフから読み取れることは、寅さんは告白をしない…ということである。
寅さんが告白をする時は、その女性が手の届かないところにいるときだけ。
しかし、満男のセリフを遡ると、こんなことも言っている。
満男「例えば…綺麗な花が咲いてるとするだろ?男は、綺麗なまま放っておきたい…という心と、自分のものにしたい!という心の2つがあるんだ」
満男によると、寅さんは前者の心を強く持っているらしい。
逆に、満男は自分のものにしたい!という気持ちが強いのだという。
花…とは、もちろん女性の比喩である。
そして、「自分のものにしたい」というのは、つまりはお付き合いや結婚する…ということ。
そこにはもちろん、「責任」が出てくる。
満男は、泉を自分のものにしたい!と思いつつ、そこにちゃんと責任があることも強く痛感しているのだ。それはおそらく、寅さんの背中を見てきたから。
しかし、寅さんはその逆だ。
自分に責任は持てない。花を持って帰ってしまったら、枯れないように育てなければいけない。
なら、自然のままで…または、誰かがその花をちゃんと面倒見てくれるまで、自分がそっと見ておく…。そんな具合である。
そんな、女性関係になると急に弱気になる寅さんが…、八千草薫演じるマドンナ・志村千代の好意さえも知らないふりをした寅さんが、自ら女性に告白をするなんてことはまずあり得ない。
あったとしても、それはリリーに対してぐらいなもんである。実際、第15作でリリーにちょっとしたプロポーズのようなことはしていたけど。
そんな寅さん、今回はなんと恐れなく告白をしてしまう。
「俺はね、昔この女の人のことが好きだったんだよ。でも、寿司屋の亭主に取られてな。あん時はもう悔しかったねぇ!」
満男と泉とともに寄った旅館。そこの女将さんが色々と世話をしているときのセリフである。
色々と昔話をしながらちょっと不謹慎なことも言っていた寅さんだったが、実はこの女将の亭主が死んでしまったのを知る。
すると、寅さんは急に仁義を通すようになる。
そして、その晩。
女将さんが寅さんに迫ってくるとき、寅さんはギョッとした表情をする。
今にもその場を逃げ出したい…。
そこに満男がフォローを入れる。もちろんフォローを入れようと思ってのことではなく、ただの事故だったんだけど。
寅さんが思わず告白をしてしまう、そんな面白い作品だった。
心配してくれる人は、きっといるもんだ
今作『男はつらいよ 寅次郎の告白』で、及川泉がこんなセリフを言う。
「私は、この世で一番不幸なんじゃないかって思ったの…」
誰にも理解されないことが、泉にとっては不幸の源になっていたのだ。
しかし、泉には実際、心配してくれてる人がたくさんいる。
諏訪家、くるまやの面々、母、そして寅さんだ。
心配してくれてる人がいるというだけで、実は幸せなことなんじゃないか…。
そう思わせてくれるような作品だった。
『男はつらいよ 寅次郎の告白』を総合評価するなら?
『男はつらいよ 寅次郎の告白』を総合評価するなら、星5中の星4評価である。
うーん、面白いんだけど、そろそろ勢いがなくなってきたかな…という感じは否めない。
満男と泉のパートが多めになっていて、それで補っているのはわかるけれど、やっぱりちょっと物足りなさがあるかな…という感じだ。
だが、もちろん面白くないわけではないので、星4評価とさせていただく。
『男はつらいよ 寅次郎の告白』はどんな人にオススメ?
『男はつらいよ 寅次郎の告白』は、前作を観た人にオススメしておきたい。
前作を見ないことには何が何やらわからないと思うので、まずは前作を見てからの鑑賞をオススメする。
終わりに
『男はつらいよ 寅次郎の告白』についてレビューしてきた。
第44作も終わり、残すところあと4作でオリジナルストーリーは幕を閉じる。
寅さんを全作品見終わった後、何を見ればいいのかな…なんてことを考えたりする。
選択肢は色々あるのに、おそらく寅さんロスになってしまって映画どころではない…かもしれない。
そんな時、寅さんだったらこう言うだろう。
「なんだ?そんなつまんないことで悩むんじゃないよ。自分が観たいやつをみればいいだろう?バカだねぇお前も。当たり前じゃないかそんなこと」
なんて。