【ネタバレ感想】『男はつらいよ 純情篇(第6作)』は、寅次郎の恋が前面に押し出された作品だった

ふぉぐです。

ついさっき、『男はつらいよ 純情篇』を観終わったので、さっそくレビューしていきたいと思う。

ちなみに、ネタバレ全開でレビューしていくので、まだ観ていない方はご注意を。

では、さっそくレビューに移ろう。




『男はつらいよ 純情篇』ってどんな映画?あらすじは?

『男はつらいよ 純情篇』は、1971年公開のコメディ映画。男はつらいよシリーズの第6作にあたる。

監督は山田洋次。主演は渥美清、倍賞千恵子、前田吟。マドンナ役に若尾文子。

あらすじとしては、「遠縁にあたる夕子が夫の元を飛び出してとらやへ。その境遇に同情した寅次郎は夕子に惚れるが…」という物語である。

九州は長崎で宿を探していた寅次郎。

すると、赤ん坊を背負った1人の女性がいた。

その女性に一声かけて、立ち去ろうとすると、女性が「お金を貸してください」と頼み込んできた。どうやら宿代が足りなくて宿泊できないらしい。

寅次郎は人情で一緒の宿に宿泊させ、次の日にその女性の故郷である長崎県は五島へと向かうのだった。

長崎へ来る前、とあるテレビ番組を見ていると、懐かしき柴又の風景ととらやのおじちゃんおばちゃん、そしてさくらが出演していた。

望郷の念に駆られた寅次郎は、長崎の五島へつき、その女性の父親と話をしている最中に柴又へ帰る決心をつけるのだった。

その頃柴又では、とらやのおばちゃんと遠縁にあたる「明石夕子」が下宿としてとらやの二階に住んでいた。

そこへ寅次郎が帰ってくる。

一瞬は「俺の部屋に誰かが住んでるのか」ととらや夫婦に失望した寅次郎だったが、住んでいるのが美人の夕子だと知ると態度を一気に変えるのだった。

ちょうどその頃、さくらの夫のひろしは、

「今の工場を辞めて独立するべきか否か」

を真剣に考えている最中だった。

寅次郎にアドバイスをもらおうとするが…。

『男はつらいよ 純情篇(第6作)』は、寅次郎の恋が前面に押し出された作品だった

というわけで『男はつらいよ 純情篇』を観終わった。

まず最初の感想としては、

「今作は寅次郎の恋が前面に押し出された作品だなぁ」

ということである。

これまでの男はつらいよシリーズを観ていると、マドンナが出てくるのはだいたい後半になってからである。

しかし、今作のマドンナ「夕子」は前半〜中盤の間ぐらいから寅さんの前に現れる。

この点がいつもの「男はつらいよ」とは違う点だなぁ…と思った。

まさに純情篇である。

ぶっちゃけ、ストーリー的には物足りなさがある

『男はつらいよ 純情篇』は、ぶっちゃけた話ストーリー的には物足りなさがあるのは否めない。

というのも、そもそもマドンナがとらやへ下宿として逃げ込んできた点がどうにも個人的に納得がいかない。

新人賞をとるような小説家の夫を持つマドンナ。

さくらと会話をするシーンで、

「うちは静かすぎるところだった」

と打ち明けるシーンがある。

新人賞をとるような小説家夫、そして静かすぎる家…とくれば、夕子は良いところのお嬢様なわけである。

そのお嬢様が家を飛び出したくなる気持ちはわからんでもない…。

が、今作ではその飛び出したくなった理由がぼんやりしすぎてて、なかなか感情移入できないのだ。

そもそも「男はつらいよ」のマドンナになかなか感情移入するようなこともないんだけれど、なんかこう…納得のできない感じ…というか。

下宿にきた理由がぼんやりしすぎているからこそ、最後に夫が迎えにくるシーンであっさりと引き上げてしまうし、何よりストーリーにおいてマドンナの重要性をさほど感じないのだ。

つまらないわけではないんだけれど、物足りなさ…空虚感みたいなものを感じてしまう作品だった。

ひろしの名言が飛び出す

『男はつらいよ 純情篇』を見ていると、

「これは名言だなぁ」

と思うところがあった。

それは、寅さんがひろし&さくら宅へ独立の話を聞きに行っているシーンである。

そこでひろしは、「独立なんてリスキーだし…」というさくらにこんなことを言う。

「新しいことを始めるなら、リスクはつきものなんだよ。リスクを恐れてたら、何もできないじゃないか」

と。

セリフの言い回しは違うけど、ニュアンス的にはこんなことを言っていた。

寅さんもここでひろしに同調する。

「良いこと言うじゃねえか!独立結構!明日工場を辞めちまうんだ!」

と。

このかっこよさ、そして潔さ…。

今でこそ、インターネットが発達している時代だし、もしリスクに負けて負債を背負ってしまったとしてもどうにかなることが多い。

しかし、インターネットがないあの時代に新しいことをしよう!独立しよう!と考えることはまさにリスクの塊である。

ひろしのかっこよさにも惚れるし、ひろしを認めるとらさんにも惚れる。

「男はつらいよ」という映画には、人生の教訓が詰まってるんだなぁ…と感じた瞬間だ。

2人の境遇に共感し、やってはいけないことをしてしまった寅次郎

『男はつらいよ 純情篇』では、

「これは人としてどうなんや…」

というシーンがある。

それが、ひろしの独立をタコ社長に伝えに言ったかと思ったら、タコ社長宅でひろしを説得してほしいと頼まれ、結局どうすることもできずに投げ出した…というシーンである。

このシーン、どう考えても人としては最低なわけだが…。

だがしかし、これは人にありがちな行為なのは言うまでもない。

ひろしはひろしで独立をしたい。タコ社長はタコ社長でひろしに独立されては困る。

ひろしの志に強く共感した寅さんは、タコ社長の悲愴な叫びに情が移ってしまう。

寅さんは、恐らく共感力が強いのだろう。

さらにはタコ社長も言っているように「義理と人情に生きる」男である。

だからこそ、ひろしの想いも受け入れてあげたかったし、タコ社長の想いも受け入れてあげたかった。

結局挟み撃ちにあった寅さんは、ズバッと諦めて寝てしまう。

観客としては「サイテーだなぁ」と思うが、実際寅さんの境遇に立たされてみると、深い共感を得てしまうような…そんなシーンである。

『男はつらいよ 純情篇』を総合評価するなら?

『男はつらいよ 純情篇』を総合評価するなら、星5中の星4評価である。

うーん、まぁいつものごとく安定的なクオリティである。

序盤と終盤の不幸話からの幸せエピソードはとても良かった。

だが、肝心のマドンナなどの点が個人的にイマイチだったのを加味して、星4評価が妥当かな…と言ったところだろうか。

『男はつらいよ 純情篇』はどんな人にオススメ?

『男はつらいよ 純情篇』は、寅さんとその周りにいる人物の相関関係が頭に入っている人にオススメしたい。

大抵の場合は第1作を見れば大丈夫なので、第1作を見ている人にオススメしておこう。

終わりに

『男はつらいよ 純情篇』についてレビューしてきた。

余談だが、今作に出てくるスケベな医者は、2代目とらやおじちゃんとして後々出てくる。

この時すでに初代おじちゃんと2代目おじちゃんが共演していたことが、なんだかとても感慨深いなぁ…なんて思ってしまった。