【ネタバレ感想】『男はつらいよ 寅次郎真実一路(第34作)』は、寅さんの成長が垣間見れる作品だった

ふぉぐです。

ついさっき『男はつらいよ 寅次郎真実一路』を観終わったので、さっそくレビューしていきたいと思う。

ちなみに、ネタバレ全開でレビューしていくので、まだ観ていない方はご注意を。

では、さっそくレビューに移ろう。・




『男はつらいよ 寅次郎真実一路』ってどんな映画?あらすじは?

『男はつらいよ 寅次郎真実一路』は、1984年公開のコメディ映画。男はつらいよシリーズの第34作。

監督は山田洋次。主演は渥美清、倍賞千恵子、前田吟。マドンナ役に大原麗子。

あらすじとしては、「飲み屋で知り合った大企業の課長が、突然失踪。寅次郎は、課長の奥さんと課長探しの旅に出るが…」という物語である。

寅次郎は夢を見ていた。

日本にエリマキトカゲのような大怪獣が現れる。戦闘機や戦車で迎え撃つも、あえなく撃沈してしまい、残る手段はかつて学会から追放した車寅次郎博士の力一つになってしまった。

総理大臣に扮したタコ社長は官房長官役の源公とともに筑波山のふもとにある寅次郎の御宅へ訪問。

そうこうしているうちに寅次郎宅へ怪獣が進出してくる。

寅次郎は、印籠のような物を出して光線を発射。見事怪獣を撃退するのだった。

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寅次郎がとらやへ帰ってくると、結婚したばかりのあけみ(タコ社長の娘)が、主人とケンカしてとらやへ逃げ込んでいた。

寅次郎は、あけみの助けとなろうとするも、タコ社長からすれば寅次郎の助けはあけみのためにならないので、タコ社長と寅次郎はケンカをしてしまう。

寅次郎は、そのままプイッと上野の焼き鳥屋へ行く。

財布に金が入っていなかった寅次郎は、焼き鳥屋からとらやへ電話をするも、さくらの厳しい一言でまた機嫌を悪くしてしまう。

どうせ無銭飲食するならたくさん食べといた方が得だよな…と思った寅次郎は、やけになって酒と焼き鳥をたくさん注文。電話をしてプイッと切って焼き鳥を注文する様を見ていたある男性が、寅次郎に話しかける。

その男性は証券会社の課長をしている人物だった。

すっかり意気投合したがすぐに帰らなければならないその男性は、寅次郎の勘定分も払ってくれ、寅次郎はことなきを得た。

次の日、昨日の恩を果たそうと、男性からもらった名刺を頼りに会社まで訪れた寅次郎。

長引く勤務ですっかり遅くなった寅次郎とその男性は、そのまま飲みに行くのだが…。

『男はつらいよ 寅次郎真実一路(第34作)』は、寅さんの成長が垣間見れる作品だった

というわけで『男はつらいよ 寅次郎真実一路』を観終わった。

今作を観た始めの感想としては、

「寅さんが成長したなぁ…」

という感じである。

寅さんの成長を垣間見れるような…そんな作品である。

今作『男はつらいよ 寅次郎真実一路』には、珍しくも映画内で寅さんの心境を解説するシーンがある。

寅さんが鹿児島から帰ってきて寝込んでいる…その理由を考えたひろしの言葉が感慨深い。

「もし、このまま夫がいなくなったままだったら…と考えてしまう自分に、恐ろしさを感じたのでしょう」

というニュアンスのことを言う。

かなり哲学的で、それでいて誰しもに当てはまることである。

これまでの寅さんだったら…もしかすると、夫が帰ってこないことをそのまま「自分にとって都合の良いこと」と解釈してしまっていたかもしれない。

しかし、30作目付近以降の寅さんは、心がどこか大人になり、一歩引いた考え方ができるようになる。

自分の卑しさ、そして醜さを知った寅さんは、大原麗子扮する「ふじ子」への未練を断ち切って旅に行こうとするわけだ(と思ったら夫が帰ってきたわけだけど)。

この潔さ、そして自分のことを客観的に見れる寅さんに、脱帽である。

夢の大怪獣は、寅さんの心への伏線か

今作の夢は、大怪獣が出てくる。

あの大怪獣は調べたところ、宇宙大怪獣ギララという怪獣らしい。

宇宙大怪獣ギララは松竹制作の怪獣映画なので、寅さんに出てくるのも納得なのだが…。

私としては、今作の怪獣の夢は、寅さんの心への伏線だったのではないか…と思っている。

今作で特筆すべき点は、さっき解説した「寅さんが心の中で「自分は醜い」と思ったこと」に集約されると思っている。

そう考えると、寅さんの今作の心は、いつもの寅さんの純真さはなく、むしろ怪物のようなおどろおどろしい様相を見せているのだ。

だから、寅さんは自分のことが怖くなってしまったのである。

それはまるで、夢の大怪獣のような…。そんな伏線を感じた。

長時間通勤、長時間労働の日本が行き着く果て

今作の恋敵(恋敵というか…すでに結婚しているわけだけれども)の旦那さんは、長時間通勤・長時間労働の果てに、1人でふらっと旅に出てしまう。

旅先の宿帳に書いた名前と住所は、「車寅次郎・葛飾柴又」。

旦那さんは、寅さんと上野の焼き鳥屋でもういちど飲み直した時に、寅さんの生き方にえらく羨ましそうだった。そして、自分が鹿児島から出てきた当初のことを何回も語っていた。

旦那さんからすれば、故郷に帰りたい気持ちが強かったのだろう。

そして、フーテン暮らしをしている寅さんがどこかうらやましくなり、そのまま鹿児島へ行ってしまった…というわけだ。

長時間通勤・長時間労働…。

今でこそ辛いのに、当時はさぞ辛かったのではないだろうか。

旦那さんという存在は、日本の行き着く果てなのかもしれない。

『男はつらいよ 寅次郎真実一路』を総合評価するなら?

『男はつらいよ 寅次郎真実一路』を総合評価するなら、星5中の星4評価である。

全体としてはサクサク物語が進み、ちょっとサスペンスチックなのも新しい。

これまでの寅さんにはないような演出が盛り込まれていたりしたので、新しい寅さんとして楽しめた作品である。

また、マドンナ役の大原麗子さんが非常に美しい。

大原麗子さんといえば、第22作以来二度目の出演になるわけだが、今作も変わらず美しい。

個人的には、前回よりも色っぽさが増したような…そんな感じがした。

今作の寅さんは相変わらずの自己中心っぷりなのだが、おいちゃんに金を借りようとするシーンは個人的にはいただけなかった。そこまでいうなら自分で金を稼いでいけばいいのに…。

そんなこんなで、ちょっとうーんと思うようなところはあれど、全体として面白いので星4評価とさせていただく。

『男はつらいよ 寅次郎真実一路』はどんな人にオススメ?

『男はつらいよ 寅次郎真実一路』は、大原麗子さん目当てで見ても良いぐらいの作品である。

もちろん内容も面白いんだけれど、大原麗子さんの麗しさはすごい。

色っぽさがやばいのである…。

終わりに

『男はつらいよ 寅次郎真実一路』についてレビューしてきた。

余談だが、1996年の渥美清さんの訃報の際は、今作が金曜ロードショーで追悼として流れたらしい。

なぜ今作が金曜ロードショーで流されることが決まったのかは定かではない。

しかし、確かに金曜ロードショーで「追悼」として流れても良いぐらいに、今作は感動できる作品だったように思う。

最愛の旦那と再開できたふじ子。一方寅さんは、川のほとりで魚釣りをしている親子に声をかける…。

寅さんの寂しさ、そして「男はつらいよ」という作品に溢れ出ている憂を表すのには、今作がぴったりだったのかもしれない。