【ネタバレ感想】『男はつらいよ 寅次郎頑張れ!(第20作)』は、「若さ」への想いが詰め込まれた作品だった

ふぉぐです。

ついさっき、『男はつらいよ 寅次郎頑張れ!』を観終わったので、さっそくレビューしていきたいと思う。

ちなみに、ネタバレ全開でレビューしていくので、まだ観ていない方はご注意を。

では、さっそくレビューに移ろう。




『男はつらいよ 寅次郎頑張れ!』ってどんな映画?あらすじは?

『男はつらいよ 寅次郎頑張れ!』は、1977年公開のコメディ映画。男はつらいよシリーズの第20作目。

監督は山田洋次。主演は渥美清、倍賞千恵子、前田吟。マドンナ役に藤村志保。

また、今作のゲストとして中村雅俊(ワット君)、大竹しのぶ(福村幸子)が出演している。

あらすじとしては、「とらやに下宿しているワット君が、食堂の女の子に惚れる。みかねた寅次郎が、恋愛指南をする」という物語になっている。

寅次郎は夢を見ていた。

とらやの面々、そしてタコ社長が大金持ちになり、豪華な住まいに暮らしていた。

すると、ひろしが「兄さん、そんな汚い服、着替えてください」と言い、大きなクローゼットを広げてたくさんのスーツを揃えていた。

そして、寅次郎のアタッシュケースを「捨ててくれ」と召使に頼むひろし。

寅次郎が夢から覚めると、本当に泥棒にアタッシュケースを盗まれていたのだった…。

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寅次郎がとらやへ帰ると、見知らぬ男がとらやの店壁に「セールスお断り」の札を貼っていた。

その男は、つい最近とらやへ下宿し始めた、ひろしとさくらの知り合い「ワット君(島田良介)」だった。

ワット君は、寅次郎の風貌をみて「押し売りセールス」だと勘違い。すぐに110番通報してしまうのだった。

ワット君とのいざこざがあったために、寅次郎は膨れっ面をしていた。

すると、今回の件でいたたまれなくなったワット君がとらやを後にする。

とらやの面々から冷ややかな目を向けられた寅次郎は、パチンコを打ちに行くのだった。

寅次郎がパチンコを打っていると、その店ではワット君もパチンコを打っていた。

すっかり意気投合した2人はとらやへ帰宅。

次の日、昼頃起きた寅次郎が近くの定食屋へ行くと、ワット君がそこにいた。

飯を食っているワット君は、どうやら定食屋で働いている女の子に惚れているらしい。

見かねた寅次郎は、恋愛指南を始めるのだが…。

『男はつらいよ 寅次郎頑張れ!』は、「若さ」への想いが詰め込まれた作品だった

というわけで『男はつらいよ 寅次郎頑張れ!』を観終わった。

まず最初の感想としては、

「この映画は若さへの想いがすごいな」

ということである。

今作の主人公はもちろん寅さんなのだが、「男はつらいよシリーズ」における恋愛要素の主人公に関しては寅さんでない。

中村雅俊演じるワット君と、秋田から上京してきた娘の幸子ちゃん(大竹しのぶ)である。

今回の寅さんの恋模様に関してはほとんど脇役。ワット君&幸子ちゃんのなかなか結ばれない恋模様が描かれている。

ワット君は確か25歳、幸子ちゃんは20歳なんて言っただろうか。

2人とも、これからの人生を謳歌する年齢である。

だから、ワット君は幸子ちゃんに振られた時(実際は振られてなかったけど)、ガス自殺を図ろうとする。

恋愛だけが全てだと思ってしまう年齢。愛する人に振られてしまったことへの絶望。

もし、自分があんな風に愛する人に振られたら、それこそワット君のように自殺をしてしまうかもしれない。実際ワット君は自殺せず、ガス爆発ですんだけど…笑。

しかし、ここで寅さんへと振り返ってみよう。

寅さんは、これまで幾度となく女性に振られまくっているわけだが、寅さんはこれまで一度でも(確か1度だけ自殺をほのめかすような手紙が送られてきたことがあったけど笑)自殺を図ろうとしたことはない。

もちろん、寅さんには寅さんなりに失恋がキツイので、失恋した瞬間に旅に出て行くのが「男はつらいよシリーズ」の定番になっているわけだが、これまで一度でも寅さんが自殺未遂をしたことはないのだ。

そう、そこには「若さ」と「老い」の違いが見て取れる。

若い時分は、恋愛にうつつを抜かしてしまうとどうしてもそれだけが世界の全てのように思ってしまう。

好きな子のことを思うと胸が痛いし、何も手につかない。一種の恋愛病とでも名付けようかレベルだ。

もちろん、老い代表の寅さんだって、好きな女性のことを思うと胸が痛いし、好きな女性がやってくるとわかりやすく態度が急変する。

だが、寅さんは自殺はしない。ガスも出さない。爆発もさせないのだ。

老いるということは、若さとは対照的に、自分の中で「わかっていたことさ」という思いが湧き出てくるのだと思う。

今作の寅さんを見ていて、そう思った。

マドンナに惚れる寅さん、見抜く弟

今作『男はつらいよ 寅次郎頑張れ!』のマドンナは、ワット君の姉である島田藤子である。

このマドンナが、寅さんの気持ちを全くわかっていなくて切ない。

藤子は、ワット君に、

「姉ちゃんは寅さんに惚れとるんね?寅さんは姉ちゃんに惚れとるばい…」

と話し始める。

ワット君は、寅さんが惚れてることに気付いていたが、当の姉が全くそのことに気付いていないそぶりをしていたので、寅さんの気持ちを考えて姉に問い詰めたわけだ。

そう、自分が一度失恋のようなものを味わったからこそ、コーチである寅さんの気持ちを汲んだのである。

しかし、藤子はこう言う。

「なんばいいよっと!寅さんはそげんおひとじゃなかね!」

と慌てて言う。その場にいたさくらも、「あっ…」という表情をする。

寅さんの好意、全然伝わってないじゃん…と。

そして、ワット君はこう続ける。

「もし姉ちゃんが寅さんのこと好いてないなら、寅さんば置いてかにゃいけんばい」

と。

当の寅さんは、この一連のやり取りを階段の下から聞いていたので、次の日の朝早くにさくらから金を借りてすぐに旅に出るのだった。

マドンナのほれる寅さん。

前作(第19作)のマドンナもかなり残酷なお人だったが、今作の藤子もかなり残酷だなぁ…と思った。

『男はつらいよ 寅次郎頑張れ!』を総合評価するなら?

『男はつらいよ 寅次郎頑張れ!』を総合評価するなら、星5中の星5評価である。

個人的には大満足。恋愛に揺れ動く若い2人の心情を細かく描いているので、見ているこっちもなんだかドキドキした。

特に、定食屋へワット君が結婚を申し込みに行って振られた時のあの気持ちを考えると、それはそれは胸が苦しくなった。ああ、あんな恋愛も素晴らしいものである。

全体的にトントン拍子に話が進んでいくので、全く飽きることなく最後まで見ることができた。

私としては男はつらいよシリーズの中でも5本の指に入るぐらいの作品かなぁと思う。

『男はつらいよ 寅次郎頑張れ!』はどんな人にオススメ?

『男はつらいよ 寅次郎頑張れ!』は、若い人の恋愛模様が描かれている映画が好きな人にオススメしたい。

今作は、普通の恋愛映画としても良い味を出しているし、ワット君の境遇に共感する男性は多いのではないだろうか。

終わりに

『男はつらいよ 寅次郎頑張れ!』についてレビューしてきた。

余談だが、なんとまぁ…幸子ちゃん役が大竹しのぶさんだということにこの記事を書いているときに知った。

若い…。

あんな美貌を持っているのだから、そりゃ明石家さ●まも惚れるってもんである…。

大竹しのぶさんの生まれが1957年だということなので、今作が1977年の作品だとすると、幸子ちゃんの設定通り20歳ということになる。

20歳…若い…。

それにしても、普通に秋田弁を喋っていたけれど、実際は東京生まれの人である…。すごい。