【感想】ターミナルは、「人気になると得をする」ことがわかるヒューマン映画だった

ふぉぐです。

ついさっき、「ターミナル」を観終わったので、早速レビューしていきたいと思う。

ちなみに、ネタバレ全開でレビューしていくので、まだ観ていない方はご注意を。

では、早速レビューに移ろう。

ターミナルってどんな映画?あらすじは?

ターミナルは、2004年公開のヒューマンドラマ・コメディ映画。

監督はスティーヴン・スピルバーグ。主演はトム・ハンクス。

あらすじとしては、「事情があって空港で足止めされてしまった男の物語」になっている。

クラコウジアという国からジョン・F・ケネディ空港にやってきたビクター・ナポルスキーは、なぜか空港で足止めされてしまった。

ニューヨークに事情があってきたのに、あと一歩というところで税関職員に捕まってしまう。

なんと、ビクターの祖国である「クラコウジア」で戦争(クーデター)が起こってしまい、現政権が崩壊しているということだった。しかも、ビクターが祖国を飛行機で出発した直後のことだったのである。

ビクターは入国ビザを取り消され「無国籍人」となってしまい、空港で足止めを食らうことになった。アメリカに入国しようにも難民申請をすることもできず、かといって母国に引き返すこともできず、まさに八方塞がり状態だった。

空港警備局主任のディクソンは、ビクターに空港内で待機しているように支持。

クラコウジアから持ってきたお金などももちろん使えないため、空港内の店で使えるクーポン券数枚と15分間通話できるテレフォンカードをビクターに支給したのだった。そして、空港内を自由に行き来できる職員専用のパスも支給した。

ビクターはどうしようか考えた末、使われていない搭乗口を寝床にしたのだった。

実は、空港内の警備はそれほど厳重なものではなく、ビクターは出ようと思えばいくらでも空港の外に出られる状態だったのだ。

警備局主任のディクソン的には、空港さえ出てくれればあとは別の部署の管轄になるため、空港警備の自分たちの負担が少なくなる…と考えていた。そのため、できればビクターにはさっさと空港内から消えて欲しい存在だった。

だが、ビクターは空港内から出ることはなかった。正規の手続きをしてからニューヨークに「とある事情」を果たしにいきたかった。

空港生活が続くにつれて、ビクターはどんどん仲間たちを増やしていくのだった。

ターミナルは、「人気になると得をする」ことがわかるヒューマン映画だった

ターミナルは、まさに「人気者ほど得をする」ということがわかるヒューマンドラマ映画だった。

舞台はずっと「空港」という閉ざされた空間のみなのに、その中で生まれるヒューマンドラマが中々に面白い。コメディ要素も豊富に含んでいるので、最初から最後までずっと面白かった。

かの有名な幕末志士・坂本龍馬の名言にこんなものがある。

金よりも大事なものに評判というものがある。

世間で大仕事をなすのにこれほど大事なものはない。

金なんぞは、評判のあるところに自然と集まってくるさ。

これはまさに商人の家出身の坂本龍馬らしい名言だなぁと私は思っているのだが、ターミナルはまさにこの名言のような映画だったように思う。

ビクターは、空港内で働く人々からめちゃくちゃ人気になった。

警備局主任のディクソンは、どちらかというと「堅実な人間」だったのに対して、ビクターは「人間味あふれる人」という位置付けだ。

映画内の印象深いシーンの一つに、今作のヒロインであるアメリアとディクソンが対話する箇所がある。

ディクソンは、アメリアとビクターの仲が親密になっていく様子を見ていて、

「ビクターの何が良いんだ?」と聞くと、アメリアはこう答える。

「あなたのような人にはわからないことよ」

と。

ディクソンは、警備局主任という立場であるため、「規律」に対しては厳しい態度をとる。しかし、ビクターは「父親のための薬だ」と言っていたロシア人のために、「この人はヤギのための薬だと言っている」と咄嗟の嘘をついてその場を乗り切らせた。

法の抜け道…というと聞こえは悪いが、人助けをする場合には法の抜け道を上手いように使うことも人情の一つなのでは…という感じだ。

規律だけを重んじていては、ディクソンのように最終的には部下に裏切られてしまう人間になってしまう。

ビクターのように人助けをしていれば、そのうち人気になって仕事も舞い込んでお金ももらえるようになるよ…という教えのような映画だったように思う。

本当に、カートを運べば25セントがもらえるのかな?

ターミナルで印象的だったシーンの一つに、「ビクターがカートを運んで25セントをもらう」という箇所がある。

空港内に散らばってしまっているカートを運べば、お駄賃的な感じで25セントをもらえる…という仕組みだ。

おそらく、空港職員の手間をできるだけ省くために、ちょっとお金が欲しい民間人を使って、お互いwin-winにしよう…的な感じだとは思うけど、あのシステムは面白いと思った。

ターミナルの空港は実際の空港を使っているのではなくセットらしいので、本当にあのカートお駄賃システムが存在するのかはわからないが、もしあったら面白いので私もアメリカに行った時はビクター気分でお駄賃を恵んでもらいたいものだ。

グプタの大道芸(笑)

ターミナルで私が思わず吹いてしまったのが、ビクターとアメリアが食事をする時、空港掃除のグプタが二人の横で大道芸を始めるシーンである。

意外と上手いし、大道芸が終わった後に颯爽と帰っていく姿が面白い。思わずニヤニヤしてしまった。

そもそも「グプタ」っていう名前も良い。グプタ…。良いねグプタ。

一昔前に「ズグダンズンブングン」っていう芸で流行った芸人がいたけれど、グプタがあれをやれば「グプタンズンブングン」になるのだろうか。ならないよね。

SAX奏者のベニー・ゴルソンは本人だった

ターミナルで重要な起点になっている「ジャズを探す理由」であるが、その最終目的であるSAX奏者のベニー・ゴルソンは本人だったそうだ。

ぶっちゃけ、ジャズについての知識は「ジョン・コルトレーン」や「アートブレイキー・ジャズメッセンジャーズ」や「ビル・エヴァンス」や「マイルス・デイヴィス」などの大御所たちしか聞いたことがなかったため、ベニー・ゴルソンについては知らなかった(ベニー・ゴルソンも大御所だとは思うけど)。

なんか、本人が本人役として出てるのって…すごい良いなって思った。小並感だけど。

ターミナルを総合評価するなら?

ターミナルを総合評価するなら、星5中の星4評価である。

さすがスティーブン・スピルバーグ。飽きさせないストーリーやカメラワークでとても面白く鑑賞できた。

ただのコメディではなく、どちらかというとヒューマンドラマ要素が強いのもグッド。

人間味あふれるビクターに対して、どこか機械的なディクソンを置く…というのも素晴らしい。

よりビクターの人間味が際立って、全体的なまとまりが良くなっているように思った。

ターミナルはどんな人にオススメ?

ターミナルは、人生に行き詰まっている人にぜひ見て欲しい。

なんだろ、人生の答えはぶっちゃけ「どれだけ人間味を見せられるか」にあるように思う。

人間味を正直に出していけば、ディクソンのように嫌う人も出てくるし、空港のお店の人たちみたいに慕ってくる人も出てくる。

地球の人口は70億を超えているし、人気者になろうと思えばインターネットでいくらでもなれる時代である。

人生の答えは、同じくトムハンクス演じる「フォレスト・ガンプ」にも詰まっているんだけれど、ターミナルはもっと人間味を見せてくれる映画だと思う。

ぜひ、ご観賞あれ。

終わりに

ターミナルについてレビューしてきた。

余談だが、私は初めてグアムに行った時、税関職員が怖くて緊張して、英語もほとんど分からなかったので、ちんぷんかんぷんな答えをしてしまったことがある。

そしたら、はじめは英語で話していた税関職員も、私があまりにもとんちんかんなことを言うもんだから、イライラした様子をしながらカタコトの日本語で、

「ココヘハ、ナニシニキマシタ?」

と言ってくれた。

その後、私も普通に質問に答えて「恥ずかしいな…」と顔を赤らめながらその場をさった。

ふと後ろを振り返ってみると、その税関職員は同僚と「やれやれ、受け答えぐらいちゃんとしろよ」的な身振りをしていた。外国人がよくやる、肩をすくめるポーズである。

なんか…うん。辛い思い出である。