ふぉぐです。
ついさっき、『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』を観終わったので、さっそくレビューしていきたいと思う。
ちなみに、ネタバレ全開でレビューしていくので、まだ観ていない方はご注意を。
では、さっそくレビューに移ろう。
Contents
『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』ってどんな映画?あらすじは?
『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』は、1982年公開のコメディ映画。男はつらいよシリーズの第30作。
監督は山田洋次。主演は渥美清、倍賞千恵子、前田吟。マドンナ役に田中裕子。マドンナとの恋仲役に沢田研二(ジュリー)。
あらすじとしては、「旅先で出会ったある男性と行動を共にする寅次郎。その男性は、同じく旅先で出会った女性に惚れているのだった」という物語である。
寅次郎は夢を見ていた。
荒れたブルックリンで、ブイブイ言わせている男(ジュリー)がいた。ジュリーは、さくらに「俺と付き合わないか?」と声を掛ける。しかし、さくらは実はブルックリンの寅の妹で、ジュリーのことをイモ扱いする。
そこに現れたブルックリンの寅。貫禄に負けたジュリーはそそくさと逃げるのだった。
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寅次郎がとらやへ帰ってくると、幼馴染の桃枝とバッタリ遭遇。
久しぶりにあった幼馴染は、どこかケバい格好をしていて、とらやの面々から若干疎まれたような人間になっていた。
いきなりのマドンナ登場か…?と思ったとらやの面々だったが、桃枝には亭主がいることが発覚。
すぐに落胆する寅次郎をみて、おいちゃんとおばちゃんは恥ずかしさで寅次郎に当たるのだった。
自分が特に悪いこともしていないのにそんな態度をされた寅次郎は、せっかく御前様からいただいた松茸を使った料理が並んでいる晩飯の途中だというのに、すぐにプイッと旅へ出てしまうのだった。
寅次郎は、大分県は湯平温泉にいた。
湯平温泉のとある旅館で主人と飲んでいると、旅行客の男性が主人の元へ用があると言って質問をする。
聞くところによると、その男性の母親は以前この旅館で働いていたことがあり、ついひと月前に重い病気で亡くなってしまったため、供養のためにお骨を持って思い出の地を旅行しているのだという。
その男性の名前は三郎と言い、今は動物園で飼育係をしているのだった。
寅次郎は、その男性の母親のために大々的な法事を営んであげるのだった。
一夜明け、寅次郎が民家で一服していると、昨日の法事に参加させてしまった一般の女性客2人が寅次郎の前を歩いていく。
寅次郎はすぐにその女性たちの元へ行き、一緒に旅行をするのだが…。
『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎(第30作)』は、まさに題名どおりの作品だった
というわけで、『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』を観終わった。
まず最初の感想としては、
「今作は、題名どおりの作品だなぁ」
という印象を持った。
というのも、今作で寅さんは恋のキューピッド役を買って出る。
マドンナに恋をしていたかどうか…と問われたら、今作で寅さんの心情を測るのは難しい。
しかし、今作で寅さんがキューピッド役になっているのは紛れも無い事実である。
今作を観ていくと、まさに男はつらいよの第1作目のように、寅さんは恋のキューピッド役をやる。
寅さんが恋のキューピッドをやるということは、まさか「花」だけでは終わらない。
そこには嵐が吹き荒れ、散々なことがあったのちにやっと花ひらく…と言った感じだろうか。
だから、今作の題名は
「花も嵐も寅次郎」
と、ちょっと粋な題名になっているんじゃ無いかな…なんてことを思ってしまった。
2枚目に不信感があった寅さん
今作で私が「深いなぁ」と思った点が、
「二枚目」
という言葉である。
今作の中盤で、三郎が寅さんに問い詰めるシーンがある。
「男は結局顔なんですか!?」
それに対し、寅さんはこう切り返す。
「うーん…そうなんじゃないの」
私はここで、なんとなく不可解なことを思った。
寅さんは、江戸っ子でまさに「粋」を表したような人間である。
男は背中で語るところにかっこよさがある…と思っているようなタイプだから、寅さんが「男は結局顔なんですか?」という三郎の問いに同意したのは、なかなかに不可解ではないだろうか。
私が想定する寅さんのセリフだと、こう答えるのが筋である。
「何言ってんだ!男ってのは気持ちよ」
賢明な寅さんファンなら、「このセリフなら寅さんが言ってもおかしくはないよな」と同意してくれそうなものである。
しかし、今作の寅さんは「二枚目」であることが、恋愛の本質かのようなセリフを吐く。
「なんかいつもの寅さんと違うなぁ…」
と疑問を持ちながら今作を観ていて最終盤、やっぱり寅さんらしい一言が出る。
マドンナであるケイコが、三郎と結婚することを決めた…ということをさくらから聞いて、旅に出ようとする時のセリフが寅さんらしい。
「さくら、やっぱり二枚目は良いなぁ…ちょっぴり妬けるぜ」
寅さんが素直になった瞬間である。
そう、寅さんは三郎と接しているときに、
「ケイコは二枚目が苦手と言っていた」
という邪な思いがあったに違いない。
そう、寅さんは自分が二枚目ではないことを自覚していた。それはケイコ&友達と駅で列車を待っている時のセリフから容易に想像ができる。
だから、寅さんは心のどこかで「二枚目ではないが、二枚目のような心を持っている自分」を誇りに思っていたことだろう。
船で出航する間近のケイコに三郎が告白した後にニヤニヤしているのも、
「俺は失恋を繰り返しているんだ」
という一歩引いた目線を持っていたからではないだろうか。
そして、ケイコの「二枚目だから…」という言葉に、自分に分があると思っていた。
さらに、なんとなく寅さんは、ケイコから性の匂いを感じていたのである。
「寅さんに会いたかった」と言いながら腕組みをするシーンなんかを観ても、寅さん自身は徐々にケイコから離れようとしているのがわかる。
そして、「三郎が振られて、俺の元にケイコちゃんが来たらどうしよう…」と余計な心配をしていたところに、
「ケイコさんと三郎さん、結婚するらしいわよ!」
とさくらから聞かされ、自分の立場がぐらついたわけだ。
そこについて出た一言が感慨深い。
「さくら、やっぱり二枚目は良いなぁ…ちょっぴり妬けるぜ」
『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』を総合評価するなら?
『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』を総合評価するなら、星5中の星4評価である。
全体としてさすがの面白さ。今作では、いつもなら寅さんの恋敵となる男性キャラが、なんととらやで食卓を囲む…という珍しいシーンも観れる。
ただ、なんとなく今作に関しても、マドンナの人物像がちょっと薄いかなぁ…と思った。なぜあんなに寅さんと親しくなったのかもよくわからない。
だが、それらを差し引いても面白い映画に変わりはないので、星4評価とさせていただく。
『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』はどんな人にオススメ?
『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』は、女性にオススメしたい作品である。
寅さんが劇中で、
「ケイコちゃん分かってやれよ!あいつがあんたにしゃべらねえのは、あんたに惚れてるからだよ!」
というシーンがある。
男心というものは、案外そんなものである。
ぜひ、女性に観て欲しい作品だ。
終わりに
『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』についてレビューしてきた。
余談だが、今作マドンナの田中裕子と、三郎役の沢田研二(ジュリー)は、今作での共演がきっかけで結婚したらしい。
今作を見ていて、
「そういえばジュリーの奥さんって、田中裕子さんじゃなかったっけ…」
なんて思っていたが、なるほどそういうわけだったのか…。
まさに、寅さんがキューピットとなって結婚した2人…というわけだろうか。
そんなこともあるもんだ。