ふぉぐです。
ついさっき、『男はつらいよ 知床慕情』を観終わったので、さっそくレビューしていきたいと思う。
ちなみに、ネタバレ全開でレビューしていくので、まだ観ていない方はご注意を。
では、さっそくレビューに移ろう。
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『男はつらいよ 知床慕情』ってどんな映画?あらすじは?
『男はつらいよ 知床慕情』は、1987年公開のコメディ映画。男はつらいよシリーズの第38作目。
監督は山田洋次。主演は渥美清、倍賞千恵子、前田吟。マドンナ役に竹下景子。
あらすじとしては、「おいちゃんが病気になって入院し、もうすぐ退院というところで帰ってくる寅次郎。しかし、いつものようにケンカをしてしまい、寅次郎は北海道へと旅へ出るが…」という物語である。
寅次郎が柴又へ帰ってくると、なんとおいちゃんが入院しているという。
もうすぐ退院になるが、そんな状態になっているとは思わなかった寅次郎は、すぐに見舞い品を持って病院へと駆け付ける。
医者にウイスキーをプレゼントしようと思った寅次郎だったが、医者からすれば賄賂のようなものなので受け取りを拒否。それに怒った寅次郎は病院内で一悶着を起こしてしまい、おばちゃんは寅次郎に怒ってしまう。
とらやの後継として、おいちゃんの代わりに仕事をしようと思った寅次郎。
しかし、いざとらやで仕事を始めてみると、全く真面目に働く様子がなかったのでとらやの面々は寅次郎に苛立ってしまう。
寅次郎は満男に「こっそり荷物を持ってきてくれ」と頼むが、満男がとらやへ帰るとすぐにバレてしまう。
満男とともに寅次郎の荷物を柴又駅まで持ってきたさくらは、寅次郎に真面目に働くことの意義を伝えると、寅次郎はその思いを満男に託し、しかし満男は寅次郎にカウンターして、寅次郎は旅へと出てしまうのだった。
寅次郎は北海道は知床へときていた。
偶然通りかかった車に乗せてくれるように頼むと、その車の運転手は獣医をしていた。
車の荷台には牛の糞が積まれていて、思わず寅次郎は「この車、臭いな…」と呟いてしまう。
獣医である順吉の家へついた寅次郎。すでに順吉の妻は亡くなっていて、一人娘のりん子は東京へと行ってしまっていた。
1人で暮らしてるのかと思った寅次郎。すると順吉の家に、スナックで働いている悦子という女性が入ってくる。
悦子は順吉の周りの世話をしているらしく、どうやら順吉は悦子に惚れているらしかった。
『男はつらいよ 知床慕情(第38作)』は、寅さんとは正反対の変わり者が出てくる作品だった
というわけで『男はつらいよ 知床慕情』を観終わった。
まず最初の感想としては、
「寅さんとは正反対の変わり者が出てくるなぁ…笑」
である。
今作では、寅さんとは対照的な人物である順吉が良い味を出している。
対照的ではあるが、「変わり者」としては同じである。だがベクトルが違う…そんな感じだ。
寅さんも順吉のことを変わり者だと思っていたし、順吉も寅さんのことを変わり者だと思っていた。
以前にも、確か米倉斉加年演じる大学教授(かなりの変わり者)が寅さんと色々揉め事を起こす…みたいなことがあったけれど、今作はそれよりももっと…渋味を感じる演出になっている。
寅さんと順吉の掛け合い、そして最後の告白シーンなどは絶品だった。
順吉と自分との違いを知ってしまった、寅さん
今作でかなり深いなぁと思ったシーンの一つに、寅さんが順吉を告白へと誘うシーンがある。
悦子が新潟へ帰ってしまう…というところで、なぜか反対する順吉。
その反対する理由を、寅さんはわかっていたわけだ。
順吉は、悦子に惚れている…。
だから、寅さんは順吉の背中を押すような言動をする。
「なんでそんなに反対するんだ?理由があるんじゃないのか?」
グイグイと迫り来る寅さんに、順吉は苛立つ。
「だから、俺は反対してるんだ!」
「その反対する理由を言えと言ってるんだ」
順吉は意を決して…悦子の元へ歩み寄り、
「俺が反対する理由は…お前に惚れてるからだ!悪いか!」
と告白をする。
それを見た寅次郎は、唖然とした表情を見せる…。
「言っちゃったよ…」
なんて。
この言葉、どう考えてもおかしい。
もし寅さんが順吉に「告白させること」が目的なのだとしたら、順吉が告白した後に出るセリフは、
「よくやった」
のはずである。
もし、「よくやった」という言葉が出た場合、それは順吉を信じていたからこそである。
だが、寅さんは「よくやった」とは言わず、「言っちゃったよ」とつい吐いてしまう。
これは、寅さんが順吉に対して、
「この人は俺と似たようなところがあるから、愛の告白なんてものは言わないだろう」
という感情があったからに他ならない。
恋愛に不器用な点で寅さんと順吉は似ていた。
もし寅さんが順吉の立場だったら、
「やめろやめろ!!オレァ別に好きでもなんでもねーんだ!な?あんただってそうだろう?」
なんていう感じで、その場を怒鳴りつけた後に、マドンナに同意を求めるはずである。
しかし、順吉は寅さんとは違い、自分の思いの丈をぶちまけた。
寅さんは唖然として、自分と順吉の違いを確認してしまったのだった。
自分が背中を後押ししてしまったせいで…。
りん子は、寅さんに惚れていた
今作のマドンナ・りん子は、明らかに寅さんに惚れているのがわかる。
自分から手を繋ぐりん子。動揺する寅さん。
そして寅さんが突然旅へ出てしまった時に、仲間から、
「もしかして、寅さん、りん子ちゃんに惚れてるんじゃないのか?って言っただけなんだけどもな…。そしたら寅さん、顔真っ赤にして怒ってきたんだよ」
と聞いた時に、
「そんな…!なんでそんなこと言ったの…?ひどい!」
と、りん子も怒ってしまうところを見るに、りん子は寅さんに惚れていたと考えるのが正しいだろう…。
寅さんも、そのことを知ったから、りん子に何も告げずに旅へ出たのだ。
寅さんのダメなところがいつものように出た…そんなオーソドックスな展開だった。
『男はつらいよ 知床慕情』を総合評価するなら?
『男はつらいよ 知床慕情』を総合評価するなら、星5中の星4評価である。
全体として面白い。
三船敏郎演じる順吉も良い味を出していて、寅さんと掛け合いをするところなんかはかなり面白い。
また、個人的に順吉のキャラクターが好きなので、そういう点でも高評価である。
今作は柴又でのシーンがいつもより少ないかなぁ…と思ったので、その辺を減点して星4評価かな…という感じだ。
そう言えば今作は、いつもの夢もなかった。
『男はつらいよ 知床慕情』はどんな人にオススメ?
『男はつらいよ 知床慕情』は、北海道は知床の雄大な自然が映し出されるので、知床の自然を映像で満喫したい方におすすめだ。
男はつらいよシリーズでは、日本の原風景映し出されるので、そういう癒しを求めて見るのも良いかもしれない。
終わりに
『男はつらいよ 知床慕情』についてレビューしてきた。
今作は、三船敏郎と渥美清の共演ということで、公開前からかなり話題に上がっていた作品だということである。
こんな作品を映画館のでかいスクリーンで観れたなんて羨ましいなぁ…なんて思ってしまった。