【ネタバレ感想】『夜は短し歩けよ乙女』は、前衛的すぎるアニメーション映画だった

ふぉぐです。

ついさっき、『夜は短し歩けよ乙女』を観終わったのでさっそくレビューしていきたいと思う。

ちなみに、ネタバレ全開でレビューしていくので、まだ観ていない方はご注意を。

では、さっそくレビューに移ろう。

『夜は短し歩けよ乙女』ってどんな映画?あらすじは?

『夜は短し歩けよ乙女』は、2017年公開のアニメーション映画。

監督は湯浅政明。

あらすじとしては、「ある大学生が、同じクラブに所属している黒髪の乙女に恋をする。黒髪の乙女は奔放な性格で、大学生の恋心に全く気づかない」という物語である。

通称、『先輩』は、就職活動がしたくないために大学院へ進学しようとしている腐れ大学生。

先輩は、同じクラブに所属している『黒髪の乙女』に恋心を抱いていた。

「ナカメ作戦」という、ただ「偶然を装って彼女の視界に入る作戦」を敢行していた先輩。しかしそんな先輩の作戦も虚しく、好奇心旺盛な黒髪の乙女は、先輩の恋心に気づいてさえいなかった。

ある日の夜。クラブ員による大規模パーティーが行われる。

先輩は、遠くの方のテーブルで楽しく過ごしている黒髪の乙女を見つめているが、自分と同じテーブルのパンツ総番長と学園祭事務局長に諭される。

パーティーは二次会へと進んでいくが、黒髪の乙女は一人でBARにいた。

BARでは、東堂さんという春画を集めているスケベなおじさんと出会う。

片乳を揉まれた黒髪の乙女は東堂さんを「お友だちパンチ」でぶん殴ると、自分のすぐ後ろに樋口と羽貫という二人の男女がいた。

樋口と羽貫は、黒髪の乙女に「夜の街で初めて出会う人物を簡単に信用しちゃいけないよ。もちろん我々も含めてね」と注意喚起しつつ、黒髪の乙女を夜の街での楽しいひと時へと誘うのだった。

その頃、先輩は黒髪の乙女がどこに行ったのかを探していたが、怪しい男たちに身ぐるみをはがされ、パンツを奪い取られて通行人に助けを乞うていた。

そこに、黒髪の乙女にぶん殴られた東堂さんが先輩を呼び寄せ、やけ酒に付き合わせるのだった。

先輩と黒髪の乙女の、長い夜が始まる。

『夜は短し歩けよ乙女』は、前衛的すぎるアニメーション映画だった

というわけで『夜は短し歩けよ乙女』を観終わった。

まず最初の感想としては、

「前衛的すぎる!」

という印象だろうか。

とにかく前衛的。全体的に前衛的すぎて、置いてけぼりを食らう人は多くいるんじゃないかな…という感じだ。

現代的ファンタジー?とでもいうのだろうか。

夢物語的な印象が伺える。

映画の後味として、「クレヨンしんちゃん 栄光のヤキニクロード」的な印象を持つ。

内容やストーリーは全く似ても似つかないが、後味が似ている。

栄光のヤキニクロードは、たった1日のうちに、あれもこれもと様々なことが起きて、最終的にその日のうちに熱海から春日部へと戻れる…という。

あれだけのことがあったにも関わらず、新幹線で春日部へと戻れば、3時間もかからずに帰れてしまう距離。まるで1週間あったような大冒険は実はたった1日の出来事。その儚さがヤキニクロードの醍醐味である。

『夜は短し歩けよ乙女』にも、同じような後味を感じる。

まるで1年を通したかのような…。たった1回の夜だけの出来事なのに、飲み会はあるわ学園祭はあるわ、古本市はあるわ…。

絶対にたった1日で行うには不可能な催し物の数々。

しかし、映画内ではそれらがたった1日の出来事として瞬間風速的に流れていく。

その儚さがヤキニクロードと似ていて、個人的には寂しさを感じる作品だった。

『夜は短し歩けよ乙女』は、現実と空想を行き来できる人向けの作品だと思う

『夜は短し歩けよ乙女』を観ていて思ったのは、

「現実と空想を行き来できる人向け」

の作品ではないか…と思う。

恐らくだが、完全なるリアリティ志向を持つタイプや、理路整然として論理的な組み立て方を好むタイプの人には、ぶっちゃけあまり面白くない映画として映るように思う。

逆に、いつも空想にふけるタイプの人や、

「もしこんなことがあったら良いのに…」

と、現実ではありえないことを想像してしまうことが好きな人は、『夜は短し歩けよ乙女』を許容できるのではないか…と。

要は、クセの強い作品なので、見る人を選ぶよね…って話である。

『夜は短し歩けよ乙女』を総合評価するなら?

『夜は短し歩けよ乙女』を総合評価するなら、星5中の星3評価である。

個人的には及第点。

まぁ面白くないわけではないし、面白いわけでもない。

クスリと笑える箇所はいくつかあったが、それがストーリーとして意味をなしているのか…と問われるとそんなことはない。

私はどちらかというとストーリー重視のタイプなので、『夜は短し歩けよ乙女』のようなファンタジックすぎて荒唐無稽にも思えるような演出をするような作品は実は苦手である。

絵の美麗さや、キャラクターたちの個性豊かさは評価に値するが、やはりストーリーが相まっていないことが減点の対象となる。

『夜は短し歩けよ乙女』はどんな人にオススメ?

『夜は短し歩けよ乙女』は、先にも述べたように、日頃空想や想像や妄想を嗜むタイプの人にオススメしたい。

まさに想像力が問われる映画だと思う。

終わりに

『夜は短し歩けよ乙女』についてレビューしてきた。

余談だが、森見登美彦作品において、私は『四畳半王国見聞録』をオススメしたい。

そもそも森見氏の作品は美麗で格調高い文章がポイントの一つだが、特に王国見聞録ではその才が煌めいているように感じる。

…とはいえ、この本以外読んだことないというオチだが笑。

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