ふぉぐです。
ついさっき、『嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』を観終わったので、早速レビューしていこうと思う。
ちなみに、ネタバレ全開でレビューしていくので、まだ観ていない方はご注意を。
では、早速レビューに移ろう。
Contents
『嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』ってどんな映画?あらすじは?
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』は、2003年公開のアニメ映画。
監督は水島努。
あらすじとしては、「ある謎の組織に、言われぬ罪で追われる野原一家」という感じになっている。
野原一家のその日に朝食は、なんとも質素なものだった。
ご飯、味噌汁、そして皿に引っ付いたような数十本レベルのひじきみたいなおかず。
シロのご飯受けには海苔が一枚乗っかっているだけ。
どこをどう見てもキングオブ手抜きなのだが、実はこれにはわけがあった。
みさえは、家計をやりくりして「たまには豪勢に焼肉をみんなで食べよう!」という目標の元、すでに冷蔵庫にはたくさんの高級肉が蓄えられていたのだ。
だが、やっぱり予算オーバーだったため、今日の朝ごはんだけ質素にしました…ということだった。
それを聞いた野原一家は、「よし、今日はみんな、早く帰ってこよう!」と一丸になっていたところに、車が一台塀を突っ込んできた。
車から、白衣姿のまさに怪しいおじさんが出てきて、野原一家に助けを求める。
すると、もう1人、サングラスをしてテンガロンハットのような帽子を被った渋目のおじさんが家に入ってきた。どうやらこのおじさんが、白衣のおじさんを追っているようだった。
しかし、白衣のおじさんは「この一家に大事なものは託した」と嘘をつき、会えなくサングラスのおじさんは「仕方ない、一緒に来てもらおう」と言う。
だが、野原一家はすぐに家から逃げるのだった。
街では、謎の組織がテレビ中継をジャックして野原一家を指名手配とするニュースを流していた。
野原一家は町中から追われる身となり、なんやかんやで熱海を目指すことになるのだった。
『嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』は、トラック運転手が哀しい物語だった
『嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』を観終わって、私は少し悲しくなった。
『嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』は、どう観てもコメディ映画である。
クレしん特有のギャグがたくさん豊富に詰め込まれていて、ヤキニクロードの前作「あっぱれ戦国」、前々作「オトナ帝国」などの世間的に評判の高い感動映画に比べると、いきなり毛色が違う作品に変わった感じがする。
確かに全体としてみれば『嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』はコメディ映画なのに嘘偽りはないが、実はこの映画は哀しい物語でもあるのではないだろうか…と私は思っている。
『嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』で、個人的に最も印象深かったのがトラック運転手である。
名前は登場しておらず、Wikipediaを読む限りではどうやら日本人ではなく外国人らしい。
このトラック運転手が、とても哀しい立ち位置なのは言うまでもないだろう。
ヒッチハイクをしていた女装姿のヒロシに惚れ、ヒロシのためにスウィート・ボーイズの連中と闘ってくれる。
その後、ヒロシが「熱海まで乗せて行ってくれ」と言っていたのを思い出したのか、彼はちゃんと熱海までヒロシを探しに来てくれる。
劇中では、男性が男性を好きになっている…という、現代ではなかなかに取り扱いが難しい表現をしているわけだが、ではこのトラック運転手が美少女だったらどうだろうか。
美少女がヒロシのために闘って、ヒロシが行っていたことを思い出して熱海まで助けに来てくれる…。
人物が違うだけで、実はトラック運転手は哀しい立ち位置にいて、ギャグの中にある言い知れぬ切なさを表現しているのである。
なぜ、ヒロシはトラック運転手を見て見ぬ振りをしたのか
トラック運転手の話を続けていくが、おそらく『嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』を観終わったほとんどの人が、
「なんでヒロシはトラック運転手を見て見ぬ振りをしたんだろう」
と思ったのではないだろうか。
普通に考えうる考察では、
- また、言い寄られるのが嫌だったから
- 早く帰りたかったから
- 別に声をかけるほどでもないから
みたいな意見が出てくるように思う。
だが、あのシーンでヒロシは別に、トラック運転手を見たからといって嫌そうな顔をしていない。
「やべっ!!アイツだ!!」
みたいな、引きつった表情をしているわけでもなく、ただ普通の顔をして彼を見ているだけなのだ。
これは、野原一家にとって「スウィート・ボーイズに追われている」というのが1日の主な出来事だったことが関係している。
スウィート・ボーイズに追われているという一つの物語の登場人物がトラック運転手の男だったのだ…と考えるとわかりやすいかもしれない。
『嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』の最後は、春日部からそう遠くない熱海から新幹線で帰ってくるシーンがある。
「家で焼肉を食べる」という普通すぎる日常、そしてその「焼肉を食べる」というゴールの中で野原一家はスウィート・ボーイズと闘ってきた。
『嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』の中で、みさえが骨つきカルビを妄想の中で食べるシーンがあるが、トラック運転手はこの骨付きカルビの骨のようなものである。
骨付きカルビの骨は、実際に食べるわけではなく、いわば単なる飾りのようなもの。カルビを映えさせるための装飾である。
トラック運転手の男も、野原一家においてスウィート・ボーイズから逃げる手助けをしてくれた装飾なのである。
カルビを食べきった後の骨は、言葉は悪いが用済みであり、焼肉が終わるまで振り返られることはないだろう。
ヒロシがトラック運転手の男を見て見ぬ振りをしたのは、「見て見ぬ振り」をしていたわけではなく、「ただ単純に見つけただけ」という感覚が近いのではないだろうか。
骨つきカルビを食べた後の骨が、何かの拍子でテーブルから落ちてしまって、それを拾い上げるためにその時だけ注目する…そんな感じだ。
ヤキニクロードについて考察されていた記事の中で、私の気持ちを代弁してくれているものがあったのでここで引用させていただく。
スタッフロールが流れ始める、新幹線の発車ベルが鳴り響く。自分がクレヨンしんちゃんの映画のなかで一番切ないと確信している場面だ、あれだけの大冒険が実は一日の出来事であったと知らせる時間の圧縮。荒唐無稽な非日常は煎じ詰めれば新幹線で戻ってこられる距離でしかないあっけなさに、なぜか途方もなく胸が締め付けられる。それは刺激に満ちた旅行先から帰ってくる安堵と寂しさの混ざった感情に近い。
トレーダー分岐点 様より引用>クレヨンしんちゃんの映画で一番切ない作品は「嵐を呼ぶ栄光のヤキニクロード」だと叫びたい
『嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』を総合評価するなら?
『嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』を総合評価するなら、星5中の星3評価である。
ここまでの考察はトラック運転手のみに絞った考察をさせていただいたが、全体としてみるなら個人的には普通だな…という感想を持つ。
ギャグは特に印象が残るものも無いなぁ…という感じだったし、全体としてスピード感が無いと感じた。
最後、野原一家が熱海から帰るシーンは寂しさが残っていて良かった。
だが、…うーん、コメディ映画としてみるなら個人的にはそこまで面白いわけでも無いかな…って感じである。
『嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』はどんな人にオススメ?
『嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』は、クレしんのコメディ路線が好きな人にはオススメしたい。
全体を通してコメディしっぱなしなので、コメディが好きな人にはだいぶ面白いはずである。
終わりに
『嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』についてレビューしてきた。
余談だが、『嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』を初めて見たのは小学生の頃である。劇場で見た記憶がある。
当時、この映画を見た帰りに焼肉を食べたくなっている人が大勢いたのでは…なんて余計なことを、今回見ながら考えてしまっていた笑。
焼肉って嫌いな人いるんだろうか。
あれは誰もがときめく食べ物である。
あー焼肉くいてーよ