ふぉぐです。
ついさっき、『トゥルー・ストーリー』を観終わったので、さっそくレビューしていきたいと思う。
ちなみに、ネタバレ全開でレビューしていくので、まだ観ていない方はご注意を。
では、さっそくレビューに移ろう。
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『トゥルー・ストーリー』ってどんな映画?あらすじは?
『トゥルー・ストーリー』は、2015年公開のサスペンス映画。実話を基にしている。
監督はデヴィッド・カイガニック。主演はジョナ・ヒル(マイケル・フィンケル)、ジェームズ・フランコ(クリスチャン・ロンゴ)。
あらすじとしては、「ニューヨークタイムズに勤めていたマイケルは、ある捏造記事によって会社を解雇される。解雇されて記事執筆の仕事をするために色々な場所に電話をするマイケルだったが、あえなく仕事にありつけない。そんな絶望の中、とある1本の電話がマイケルの運命を大きく変える」という物語である。
マイケル・フィンケル(ジョナ・ヒル)は、ニューヨークタイムズでも人気の記者。
マイケルは、アフリカの子どもたちの現状を世界に知らしめるべく、ある記事を執筆し掲載。しかし、その記事は一人のアフリカ人の子どもの体験を語っているのにも関わらず、実は複数人の子どもの体験を一人の子どもの体験として執筆した、いわば捏造記事だった。
このことがきっかけで会社との間に軋轢が生じ、マイケルは会社を退社。
妻の待つ田舎へと戻り、ジャーナリストとしての仕事を探すも、一度捏造記事を書いたマイケルには、なかなか仕事をOKしてくれる会社はなかった。
絶望の淵に立たされているマイケルの元に、一本の電話が入ってくる。
その電話は、
「クリスチャン・ロンゴという人物が、マイケルさんの名前を使って逃亡していた」
というものだった。
クリスチャン・ロンゴは、自分の妻・子ども3人の計4人を殺した罪で警察から追われていて、メキシコで逮捕された。
ジャーナリストとして、クリスチャン・ロンゴ、および残忍すぎる事件に興味を持ったマイケルは、すぐにロンゴが収監されている留置所に足を運ぶのだった。
『トゥルー・ストーリー』は、人間の心の闇を感じさせてくれる作品だった
というわけで『トゥルー・ストーリー』を観終わった。
まず最初の感想としては、
「この映画は人の心の闇を感じさせるなぁ…」
という印象だろうか。
ネタバレをしてしまうと、ロンゴがマイケルに話していたことは、全てが嘘だったわけだ。
ロンゴが家族4人を殺していた…それが真相だった。
しかし、マイケルはロンゴの嘘を見破れなかった。
それは、マイケルの中に、
「彼は無実かもしれない」
という気持ちがあったからである。
もっと突き詰めれば、
「彼が無実であれば良いのに」
という願望もあったのではないだろうか。
マイケルは、ニューヨークタイムズという一流会社に勤務していた腕利きのジャーナリスト。だから、自分がジャーナリストであるということにプライドを持っていたはずだ。しかし、捏造記事によって、今までマイケルが築き上げてきたものは音を立てて崩れ去り、残ったのは「捏造記事を書いた嘘つき」という烙印だけ。
再起をかけ、もう一度ジャーナリストとしての名声を得るためには、何か大きな…世間での常識を覆すようなニュースを取りざたさなければいけない。
つまり、マイケルは自分のことで精一杯だったのだ。
だから、自分の名前を使って逃亡していたロンゴが、まるで救世主のように見えてしまったのである。
そして、ロンゴの巧みな話術も重なって、マイケルはロンゴの嘘を見破れなくなってしまった。
最後の最後で自分がとんでもない大悪党に絡んでしまったことを後悔したマイケルは、死刑囚を収監する刑務所に訪れ、ロンゴと対面。
ロンゴはここでも嘘をつき、マイケルをだまくらかそうとする。
しかし、マイケルはもう普通の状態に戻っていた。だからセパレーターを叩いて、ロンゴに怒りをぶつけたのである…。
『トゥルー・ストーリー』は、人間の心の闇を感じさせてくれる映画だったように思う。
『トゥルー・ストーリー』の、二重否定
『トゥルー・ストーリー』では、「二重否定」という文法名が出てくる。
二重否定とは、映画内でも出てくるのだけれど、
「私はあなたを愛していないというわけではない」
という感じの、ちょっと回りくどい文章である。この場合だと、
「愛してはいるけれど…」
というような、ちょっと意味深な雰囲気を出すことができる。そこに何か別な気持ちを孕んでいるかのような。
留置所の面会部屋で、マイケルがロンゴの書いた文章を添削しているときに、
「ここは二重否定になってる。二重否定よりも直接的な表現の方が迫力が出る」
とロンゴに指導する。
そして法廷で、ロンゴは「二重否定」という言葉を用いる。この時のマイケルの表情が絶品である。
嫌悪感、気持ち悪さ。それらを感じた時の…いわゆる「苦虫を噛み潰したような」と比喩される演技だ。
『トゥルー・ストーリー』における「二重否定」は、おそらくロンゴの嘘を言っているのである。そこに真実があるかのように見せてはいるけれど、何か別なものを感じるような…。そんな薄気味悪さ。
ロンゴは心理戦が強すぎる。マイケルはズルズルと自分のことロンゴに話していき、ロンゴはついにマイケルの奥さんに電話をする。奥さんまでも、自分の仲間に引き入れようとしたのだ。
しかし、奥さん…というか、女性は鋭い。嗅覚が凄まじい。
ロンゴが、いわゆる二重否定的な性格をしていることをあっさりと見抜き、ロンゴを論破する。
女性には…二重否定よりも、直接的な方が良いのかもしれない…なんて、綺麗にまとめてみよう。
『トゥルー・ストーリー』を総合評価するなら?
『トゥルー・ストーリー』を総合評価するなら、星5中の星3評価である。
ぶっちゃけ、前半〜中盤まではストーリーにグイグイと引き込まれてしまう。
ロンゴが犯人なのか犯人ではないのか…というところがとても気になるからだ。
だが、後半になるにつれて、徐々にパワーダウンしていく感が否めない。特に刑事が出てきたあたりから、
「あ、これはロンゴが犯人ぽいな…」
となんとなく察してしまった。だいたいこういうシチュエーションの時は、主人公が心理誘導されてるパターンが多いのである。
全体的に暗めな雰囲気があって、そこは個人的にはグッド。
ストーリーとしても途中まではよかったので、及第点として星3評価である。
『トゥルー・ストーリー』はどんな人にオススメ?
『トゥルー・ストーリー』は、心理チックなサスペンス映画になっているので、そういう人間の奥底にあるものを感じたい人にはオススメである。
終わりに
『トゥルー・ストーリー』についてレビューしてきた。
余談だが、今作は実話を基にしている映画となっている。
マイケル・フィンケルさんも実際にいらっしゃるし、クリスチャン・ロンゴも実際にいる人物である。
ちなみに、マイケルさんがロンゴの事件に出会ったのが2001年の12月となっている。
なかなか闇深い作品だな…と感じた。