【ネタバレ感想】『トランセンデンス』は、全体的にまとまりが悪い映画だった【★★2.0点】

ふぉぐです。

ついさっき、『トランセンデンス』を観終わったので、さっそくレビューしていこうと思う。

ちなみに、ネタバレ全開でレビューしていくので、まだ観ていない方はご注意を。

では、さっそくレビューに移ろう。

『トランセンデンス』ってどんな映画?あらすじは?

『トランセンデンス』は、2014年公開のSF映画。

監督ウォーリー・フィスター。主演はジョニー・デップ、レベッカ・ホール。

あらすじとしては、「技術的特異点(シンギュラリティ)に到達するために研究を続けていた科学者夫婦を過激派組織が襲い、夫が撃たれてしまうが、夫の意識を妻がコンピューターにアップロードした…」という物語になっている。

PINN(ピン)という世界初のAI(人工知能)を開発する科学者夫婦がいた。

夫はウィル・キャスター(ジョニー・デップ)、そしてエヴリン(レベッカ・ホール)。

2人は、「技術的特異点(シンギュラリティ)」という、簡単に言ってしまえばAIが自分自身で学習をするまでに至る領域を目指して研究を続けていた。

ある日、エヴリンが取り付けた「講演会」にウィルが出席することになる。

ウィルは乗り気ではないが、この講演会を成功させれば、今後5年間の研究費用を出資してくれる人々がたくさんいるから…という理由でエヴリンが取り付けてきてくれたのだった。

ウィルは講演会をし、自分が今目指しているところを観衆に話した。

講演会が終わり、たくさんの人からサインを求められるウィル。

そこに、過激派組織の「RIFT(リフト)」の刺客がウィルを拳銃で撃ち、その後自分の顎を銃で撃って自殺した。

ウィルはすぐさま病院に運ばれて検査を受ける。かすり傷のはずなのだが、なぜか体調が優れない。

FBIのドナルド捜査官、そしてウィルの研究者仲間であるジョセフとともに、今回の事件について色々と詳しく話を聞くが、どうにも体調が優れないためすぐに帰宅するのだった。

病院でもう一度検査をすると、拳銃の弾に特殊な薬物?のようなものが塗られていて、ウィルはなんと放射能中毒に陥っているのだという。

ウィルはあと1ヶ月もすれば、体の全ての機能が停止する…という絶望的な状況になってしまった。

ウィルが死ぬ間際、エヴリンはウィルの意識をPINNのなかにアップロードすることを決意する。

初めは画面に砂嵐が映っているだけだったが、なんと画面にウィルからのメッセージが表示されていた。

彼女の手によって、ウィルはコンピュータの中で生きることに成功したのだった。

しかし、ウィルとエヴリンの友達である、研究者仲間のマックスは、この状況を芳しく思っていなかった。

明らかに危険なこの行為が、後々とんでもないことに発展していく…。

『トランセンデンス』は、全体的にまとまりが悪い映画だった

というわけで『トランセンデンス』を観終わった。

まず最初に言いたいのは、『トランセンデンス』は全体的にまとまりが悪いなぁ…という印象を持ったことについてである。

なんだろう、題材としてはとても面白い。

2040年ごろには実際に起こるであろうと言われているシンギュラリティを題材にし、なおかつ「ナノマシン」についても触れている。

ここまでSF魂をくすぐられる映画もなかなかない。ここ最近でいうなら「エクス・マキナ」ぐらい、ちょっとおぞましい感じがした。

このように、題材的にはとても素晴らしいはずなのに、なぜだかまとまりが悪いのである…。

というのも、個人的にはそれぞれのキャラクターのバックグラウンドが詳しく描かれていないことが原因なのでは…と思った。

例えば、モーガン・フリーマン演じるジョセフに関して、とりあえずウィルの研究者仲間…というぐらいしかわからない。

ポール・ベタニー演じるマックスも、どういう経緯でウィルと友達になったか…とか、どんな人物なのか…というのが描かれていない。

このように、準主役のキャラたちのバックグラウンドがわからなすぎて、物語への入り込み具合が足りない感じがした。

もっと言えば、過激派組織がなぜシンギュラリティを止めようとしているのか…という理念のようなものも大雑把すぎてよくわからない。

「なぜ、こんなに追って追われてをしてるんだっけ…?」

と思ってしまった。

全体としてまとまりが悪く、観ていてテンポの悪い映画だなぁ…と思ってしまった。

人工知能が暴走したら、本当にあんな風になるのだろうか…

『トランセンデンス』でちょっと疑問に思ったのが、

「人工知能が暴走したら、本当にあんな風になるのだろうか」

ということである。

「あんな風」というのは、「ナノマシン」を使って人間を再生したりとか…ということである。

もちろん、もしかしたらあんな現実が起こるかもしれないのは山々なんだけれど、それにしてもちょっと…という感じがする。

まぁ『トランセンデンス』は映画だから、観客の興味を引くためにあえてあのような「現実にはありえないような演出」をしているのだとは思うけれど…。

確かに、AIが発達したら人間なんて優に超える知能を持つことは明白である。

そうなると、個人的には「人間そのものが、AIにとっては邪魔になるのでは?」と思っている。

恐ろしい話だ。

『トランセンデンス』での結末は、愛の結果か

『トランセンデンス』の結末は、ウィルもエヴリンも亡くなってしまう。

これは、物語の途中でエヴリンがマックスの制止を振り切って、

「今すぐ部屋を出て行って!!」

と猛烈な勢いで怒り始めたことに由来する。

もしあの時、エヴリンがマックスの制止をちゃんと受け入れていれば、ウィルが暴走することなく集結していたかもしれない。

と考えるなら、『トランセンデンス』はITチックでまさに論理的な物語…という側面を持ちつつ、その中には人間的で感情的な愛が含まれていることになる。

前述の「エクス・マキナ」でもそうだったが、愛は時たま身を滅ぼす結果になりうる。

愛の結果が『トランセンデンス』という映画の結末だとするなら、この映画は良い意味で人間臭い映画なのかもしれない。

『トランセンデンス』を総合評価するなら?

『トランセンデンス』を総合評価するなら、星5中の星2評価である。

うーん、個人的には微妙だった。

前述のように「映画の題材」としてはとても良いんだけれど、それをうまく処理できていない…というか。

良い食材は揃ってるのに、味付けや調理法が下手すぎて、結果的に美味しくない料理になってしまう感じに似ている。

銀魂の志村新八の姉である志村妙が料理をすると、何を食材にしてもダークマターが出来上がってしまうようなものだ。

ジョニー・デップ、モーガン・フリーマン…と、名作映画に出演している名優たちを使ってこの感じに仕上がってしまうのは、個人的にはちょっと残念である…。

全体として印象が薄く、星3への壁は厚い作品である。

『トランセンデンス』はどんな人にオススメ?

『トランセンデンス』は、SF好きの人は観ても損はないと思う。

実際に今後起こる可能性があることだし、「シンギュラリティ」がもし起こったらどうなるのか…というのをシミュレーションしている感じでみるのも面白いかもしれない。

SF好き以外の…いわゆるジョニー・デップ目当てでこの映画を観てしまうと、なかなかに後悔してしまうかもしれないので要注意だ。

終わりに

『トランセンデンス』についてレビューしてきた。

余談だが、私はAIの発達推奨派の人間である。

AIは人々の暮らしを豊かにする可能性を存分に秘めている。

それこそ、ロボットにAIを組み込めば、人間がやらなくて良い仕事をAIが疲れを知ることなくやってくれるようになる。

そうなれば、人々は今よりももっと自由で、自分がやりたい好きなことができる世界が訪れるようになる。

「仕事を奪われるんじゃ?」と思っている人がいるかもしれないけど、もし大多数の人々が仕事をAIに奪われた時、国は労働力をほぼ全てAIで賄えるようになっているのだから、国民にお金を配ってくれるはずだ。

それこそ、今話題のベーシックインカムである。

AIがなんでもやってくれる未来は、素晴らしいもののはずだ。