【ネタバレ感想】『ムンバイのバイオリン弾き』は、順風と狂気について考えさせられる映画だった

ふぉぐです。

ついさっき、『ムンバイのバイオリン弾き』をみたので、さっそくレビューしていきたいと思う。

ちなみに、ネタバレ全開でレビューしていくので、まだみていない方はご注意を。

では、さっそくレビューに移ろう。

『ムンバイのバイオリン弾き』ってどんな映画?あらすじは?

『ムンバイのバイオリン弾き』は、2016年公開のヒューマンドラマ映画。インド制作。

監督はボーダヤン・ムカルジー。主演はリトウィック・チャクラボーティ、アディル・フセイン、ナイニー・ディークシト。

あらすじとしては、「バイオリン弾きの男性が、駅で映画監督をやっているという男性と出会い、仕事の依頼を受ける」という物語である。

バイオリン弾きの男性は、インドの居住区に妻と一緒に住んでいたが、生活は困窮していた。

新聞のお金も滞納するほどに困窮していたが、彼には「バイオリン弾き」という仕事があった。

しかし、その仕事もすぐに終わってしまうようなもので、給料も決して良いとは言えなかった。

ある日、仕事帰りに駅のホームで自宅へ帰ろうとしていると、別のホームから男性を見ている不審な男がいた。

バイオリン弾きの男性は、その不審な男が自分を見ていることに気がつき、ジュースを飲んだりして気がつかないふりをしていると、なんとその男が自分の元へとやってきた。

なんだろう、と思っていると、不審な男は「バイオリン弾きかい?」と男性に聞いてきた。

そうだ、と答えると、不審な男は「俺のところでバイオリンを弾いてくれないか」という仕事の依頼をする。

どうやら、男は映画監督をしているらしく、そのBGMとしてバイオリン弾きを探していたらしい。

バイオリン弾きの男性は、仕事の依頼とわかるとその男性について行った。

しかし、その男性は「他の楽器とかはなく、君だけだ」と、不安なことを言い出す。

バイオリン弾きの男性はちょっと困惑しながらも、男性の案内でバイオリンを弾くスペースへといくのだった。

しかし、バイオリンを合わせるための映画を見てみると、そこには驚愕の事実が映し出されていた。

『ムンバイのバイオリン弾き』は、順風と狂気について考えさせられる映画だった

というわけで『ムンバイのバイオリン弾き』を観終わった。

まず最初の感想としては、

「順風と狂気について考えさせられる映画だな…」

という感じである。

『ムンバイのバイオリン弾き』の最後に出てくる、

『芸術は、日常生活で汚れた魂を洗う』

というピカソの言葉がその最たるものである。

つまり、『ムンバイのバイオリン弾き』の、映画に合わせてバイオリンを弾く際のあの映画には、バイオリン弾きの男性の奥さんが出演していたわけだ。

しかし、奥さんがまさかこんな映画に出演しているなんて知らず、なんなら濡れ場(日本で言うならアダルティーな)を演じているわけだから、バイオリン弾きの男性としては狂気に満ちた心理を感じたはずだ。

そこで、ピカソの言葉が光る。

「日常生活で汚れた魂を洗う」

バイオリン弾きの男性の心は、妻が出演している映画を見たことで動揺した。監督が4つ目のカウントで演奏しろと言っていたけれど、そんなこと忘れてしまうぐらいに驚愕だったのだ。

「やる気あるのか?」と監督に言われた男性は、「あります。すみません」と言いつつ、またバイオリンを弾き始める。

精神的に汚れている状態で弾いたバイオリンは、監督が「素晴らしい」と思わず言ってしまうほどに良い演奏だった。

そう、彼の汚れた魂は、自らがバイオリンを弾くことで洗われたのだ。

そして、彼は家に帰る。

家に帰った瞬間、彼の心は狂気に満ちる。

自分に何も言わずにあんな濡れ場を演じていた妻を殺してしまうぐらいの想像をしてしまう。

まるで、朝、ゴキブリをメッタうちにして殺したような、残忍な殺し方を想像した。

だが、彼はそれを理性で抑える。理性というより、「自分の作った曲で仕事をしてきた」と、芸術を引き合いに出す。

これもまた、「魂が洗われた」瞬間だったのかもしれない。

『ムンバイのバイオリン弾き』の良い点

『ムンバイのバイオリン弾き』の良い点は、何よりもその演出である。

当方、インド映画は初体験だったわけだが、なるほど、インド映画が好評な理由がわかる。

全体的にのペーっとしてはいるものの、そこには確かなリズムがあり、ストーリーがある。

そして、考えないとわからない伏線が張ってある。

演出がきちんとなされているためか、ストーリーがどんなに短くても奥行きを感じる。

特に『ムンバイのバイオリン弾き』なんて、1時間10分ちょいという、映画にしてはかなり短い上映時間にもかかわらず、観賞後の満腹感は相当なものだ。

これはもちろん、ストーリー構成の良さもあるとは思うが、それ以前に演出の良さが光っているのでは…と感じた。

『ムンバイのバイオリン弾き』の悪い点

『ムンバイのバイオリン弾き』の悪い点は、ゴキブリが出てくるところである。

当方、ゴキブリが大の苦手であるため、ゴキブリがガッツリ出てきた瞬間、

「マジかよ…」

と目を細めてしまった。

インド映画では普通のことなのかもしれないが、もう少しマイルドにしてくれてもよかった…かな。

『ムンバイのバイオリン弾き』を総合評価するなら?

『ムンバイのバイオリン弾き』を総合評価するなら、星5中の星3評価である。

全体的にみると、やや単調な映画。

それはもちろん、1時間10分ちょいという短めの上映時間も相まっているのだが、とはいえやはりシーン展開などが単調である。

だが、ストーリー自体がわかりにくいとか、つまらないとかいうわけではない。

『ムンバイのバイオリン弾き』という映画は、こういう映画なのだ…と割り切ってしまえば、こんなにも奥行きのある映画は珍しいと思う。

哲学的であり、ホラーな雰囲気さえ感じる。

人を選ぶ映画ではあると思うが、個人的にはもう少し長くてもよかったかな…とも思う。

『ムンバイのバイオリン弾き』はどんな人にオススメ?

『ムンバイのバイオリン弾き』は、インド映画が初めて…という方におすすめしたい。

1時間10分なので、サクッと見終わる。

サクッと見終わるけど、決して浅はかな物語ではない。

ぜひ、一度ご視聴を。

終わりに

『ムンバイのバイオリン弾き』についてレビューしてきた。

余談だが、インドでは確か、ああやってコーヒーを飲むんだっけ…と思った。

受け皿にチョビチョビ垂らしながら、それを飲む…という。

文化の違いを確認できる、良い映画だなと思った。