【ネタバレ感想】『マンガティティの怪物』は、生々しい実話映画だった

ふぉぐです。

ついさっき、『マンガティティの怪物』を見終わったので、さっそくレビューしていきたいと思う。

ちなみに、ネタバレ全開でレビューしていくので、まだ観ていない方はご注意を。

では、さっそくレビューに移ろう。

『マンガティティの怪物』ってどんな映画?あらすじは?

『マンガティティの怪物』は、2015年公開のヒューマンドラマ映画。

監督はジョン・バナス。主演はグレタ・グレゴリー、マーク・ミッチンソン。

あらすじとしては、「実際に起こった監禁事件の被害者が語る、生々しい実話物語」である。

19歳のヘザーは、マンガティティという人里離れた渓谷に住む、ビルという男の元で働くことになった。

ビルは、いわゆる農業や畜産業を生業としており、人里離れた森の中で息子と2人で暮らしていた。

息子が語るに、母親と弟がいたというが、母親が弟を連れて逃げてしまったのだという。

ヘザーは、人里離れた場所で働くこと、そして知らない人と共に過ごすことを不安に思っていたが、ビルの人柄に惹きつけられ、その不安も安らいだ。

ヘザーがビルの家にやってきて1ヶ月まで、普通に楽しい生活が待っていた。

仕事である農作業、そしてビルの息子への家庭教師など、忙しいながらも楽しい生活だった。

しかし1ヶ月を過ぎたあたりから、徐々にビルがその本性を現していく。

発端は、ヘザーがビルの人柄を信頼しきって、ある日、ビルに自分の過去の話などを打ち明けたところにあった。

それからというもの、ビルはヘザーに身体の関係を迫り、最終的には「子供が欲しい」などと言いだす始末だった。

言われるがままにヘザーはビルに身体を差し出すが、ついに妊娠が発覚する。

ビルの異常性に気づいてなんとか逃げ出したいと思ったヘザーだったが、産婦人科の医師に助けを求めようとしても、非協力的に感じてしまって打ち明けられず、ビルから逃げようと思っても、ビルのサイコパス性に恐怖を感じて実行に移すことができなかった。

『マンガティティの怪物』は、生々しい実話映画だった

というわけで『マンガティティの怪物』を見た。

最初の感想としては、

「生々しい実話映画だなぁ…」

ということだろうか。

ネタバレになってしまうかもしれないが、「The 4th kind」のように、「本当は創作でした!」みたいなオチだったらどれぐらい良かっただろうか…。

実際に被害にあった、ヘザーが生出演しているし、なかなかに恐ろしい体験だったのだろうと思う。

映画を見ていると、ヘザーにとって逃げ出すチャンスはいくらでもありそうに見える。

しかし、ヘザーの立場になって考えてみると、それはなかなかに困難であり、同時に強い恐怖を感じることでもある。

あれだけ銃をぶっ放し、「もし逃げたら殺すぞ」とまで脅されたのでは、逃げようにもなかなか逃げられない。

ましてやビルの体格に比べ、ヘザーは女性である。

逃げて殺されるぐらいなら、殺されないためにここで生きよう…と、絶望の淵にいながらもなんとか生きる道を見つけ出そうとしている姿には胸を打たれる。

また、彼女は映画内で、

「明らかにこの時の私は、ストックホルム症候群だったのでしょう」

と語っている。

ストックホルム症候群とは、いわば監禁事件などの際に、被害者が生きるためになんとか加害者と心理的な距離を縮めよう…とすることを意味する。

まさにヘザーはストックホルム症候群にかかっていたのではないか…と思う。

「人里離れた渓谷」で、ガスも電気も通っておらず、ヒッピーのようにヒゲを蓄えた巨漢がいる。

そんな絶望的な状況の中で、よく耐えてこられたものだ…と思う。

無事に逃げられて良かった。

無罪放免になったのは、認知症の他に、事件の年数もあると思う

『マンガティティの怪物』の最後で、ビルが法廷に現れて無罪放免となる実際の映像が流れる。

ヘザーを入れた4人による告訴で行われた裁判だった。

当初は2年はかかると言われていた裁判が、実際に判決が出るまでに4年の月日がかかってしまったという。

映画を見る限りでは、明らかにビルは有罪にならなければおかしい。

しかし、裁判所の判決では、

「ビルは軽度の認知症になっている」

という理由で無罪放免が言い渡される。

おそらく、今作を見た方の中でも、

「なんで!?ビルの悪行は追求されるべきでしょ!」

と思われた方がいるだろう。私もその1人である。

だが…おそらく裁判所としては無罪にせざるを得ない状況だったのではないか…と思う。

まず、ヘザーが被害者となったのが1980年代後半のことである。

そこから、裁判になったのが2009年ごろ。

実に20年以上の月日が流れてしまっているのである。

20年というのはかなりの月日である。

ヘザーが実際に事件にあった…という証拠は、もはや跡形もなかったのではないだろうか…。

また、ビル本人が軽度の認知症ということも相まって、ビルの発言に真実性が含まれにくいこともあげられるように思う。

もちろん、ヘザー以外に3人の女性が告訴したということなので、この女性たちのどれかの証拠があった可能性はある。

とはいえ、やはり…ビルに責任追求するのは難しいと判断したのだろうな…と思う。

被害に遭われた女性たちからしてみれば、怒りを通り越した境地だろう。

だが…、ヘザー本人も言っていたが、もっと早くに裁判ざたにしていれば、状況は変わったのかもしれないのだ。

2012年にビルは亡くなった…とのことなので、もう、事件の真相は闇の中である…。

『マンガティティの怪物』を総合評価するなら?

『マンガティティの怪物』を総合評価するなら、星5中の星3評価である。

個人的にはまぁ及第点をあげても良い映画である。

ストーリーとしてもサクッとまとめられていて、上映時間も1時間ちょっとと短い。

でも、内容は濃密で、かなり「うわぁ…」と思うようなシーンもある。

物語自体にスピーディさはないけれど、1時間映画にしては鑑賞後のどっぷり感が強いので、そういう意味も込めて星3評価とさせていただこう。

『マンガティティの怪物』はどんな人にオススメ?

『マンガティティの怪物』は、ヒューマンドラマやサスペンス映画が好きな人にオススメである。

実際に起こった事件を元にしているので、かなり生々しい。

大人向けのストーリーとなっている。

終わりに

『マンガティティの怪物』についてレビューしてきた。

ぶっちゃけ…私の偏見ではあるが、1時間30分に満たない映画は、ほとんどの場合凡作以下のことが多い。

名前は挙げないが、これまで見た1時間30分に満たない映画はほぼ…「う〜ん」と首を傾げたくなるような出来だった。

しかし、『マンガティティの怪物』は、1時間ちょいという上映時間ながら、ずっしりくるストーリーだったのは評価に値する。

サラっと見れる映画って、今後需要が高まりそうな気がする。