【ネタバレ感想】『ソロモンの偽証 後篇・裁判』は、少しお粗末な終結作品だった

ふぉぐです。

ついさっき、『ソロモンの偽証 後篇・裁判』を観終わったので、さっそくレビューしていきたいと思う。

ちなみに、ネタバレ全開でレビューしていくので、まだ観ていない方はご注意を。

では、さっそくレビューに移ろう。

『ソロモンの偽証 後篇・裁判』ってどんな映画?あらすじは?

『ソロモンの偽証 後篇・裁判』は、2015年公開のサスペンス映画。『ソロモンの偽証 前篇・事件』の次作であり完結作。

監督は成島出。主演は藤野涼子、板垣瑞生。

あらすじとしては、「前作で裁判をすることになった藤野たちは、8月15日の終戦記念日についに裁判を行うことになる。そこで、ある新事実が浮かび上がってくる」という物語である。

裁判日が徐々に迫ってくる中で、藤野たち検察側は三宅樹里宅へと足を運ぶ。

しかし、三宅の母親に追っ払われてしまう。藤野は、追っ払われる直前、三宅に連絡先が書かれた紙を渡す。

後日、三宅は母親に「藤野さんに会いたい」と申し出て、藤野を自宅へと招き、裁判に出る旨を伝えるのだった。

裁判が迫ってくるある日。柏木くん宅へ、柏木くんが死の直前に不審な電話番号から計4回も電話をされている事実が発覚する。

藤野たち検察側は、この着信のどれかが大出俊次たちによる呼び出しの可能性が高いとし、一つ一つ調べていく。

すると、その電話番号は公衆電話からで、それも4つ全てが違う公衆電話からかけられていた。

近隣住民に聞き取りを開始すると、電気店を営んでいるおじいさんが、「君たちと同じくらいの学生さんが電話をかけてたから、声をかけたらすぐに走り去ってしまった」と語る。

それが大出俊次だったのか、それとも別の誰かだったのか…。

藤野が引っかかって考え事をしていると、神原がこんなことを言い出す。

「それは多分、「本人」なんじゃないかな」

本人というのは柏木くんのこと?と聞くと、そうだと答える神原。

しかし、検察側の意見として、それはあり得ないという判断を下す。

いつも冷静でパーフェクトな仮説を立てる神原が、こんな稚拙な仮説を立てるのはおかしい。

そう考えた藤野の頭に、引っかかることが思い浮かぶ。

柏木くんの葬式があった日、神原は別の学校所属なのにわざわざ葬式に来ていた。

しかし、神原は、「柏木くんとは、小学校以来話してないんだ」と答えていた。

そんな付き合いが浅いのに、葬式に来るのだろうか。

藤野は神原に疑念を持ちながら、ついに裁判の日がやってくる…。

『ソロモンの偽証 後篇・裁判』は、少しお粗末な終結作品だった

というわけで『ソロモンの偽証 後篇・裁判』を観終わった。

まず最初の感想としては、

「うーん、少しお粗末な終結作品だなぁ…」

という感じだろうか。

正直、思ったような終わり方ではなかった。

今作の結論としては、柏木くんがちょっとメンヘラチックで、

「死のうと思ってるんだ」

というところから実は始まっていた。

神原は、自身の両親が二人とも死亡していて、そのことを柏木くんも知っていた。

そのせいか、柏木くんは神原に「お前は犯罪者の息子だ」という烙印を押す。

そして「お前は偽善者だ」とも言い、過去の出来事を忘れようとしてるだけだと神原を触発させる。

「あるゲームをしよう」といった柏木は、神原が生まれた病院などを回らせ、計4カ所から公衆電話で柏木宅へと電話をかけ、自分にゆかりのある場所に行った時の気持ちを伝えろ…というものだった。

計4カ所も回って夜遅くなってしまった神原は、柏木から「今から学校の屋上へ来て。待ってるから」と言われ、断ったのだが柏木の強引な誘いで結局屋上へ行ってしまう。

そして、散々罵倒されて腹が立った神原は、

「勝手に死ね!」

と柏木に言い放ち、柏木は自ら命を断つ…という結末である。

結局、警察の判断は正しかったわけだ。

警察はもともと柏木は自殺だという結論を導いていたわけだから。

誰が犯人でもなく、まとまりの良い物語のように思えるが…。

観客視点で見れば、誰かが嘘をついていて、犯人がいた方が面白い作品になっていたように思う。

1番の被害者は、松子である

『ソロモンの偽証 後篇・裁判』を観ていて思ったのは、今作最大の被害者は松子である。

三宅を友達だと思っていたが、三宅自身は松子をただ良いように使っていただけ。

最終的には全責任を松子に押し付けた三宅。

松子は交通事故で死亡…。

1番の被害者は松子である…。

『ソロモンの偽証 後篇・裁判』を総合評価するなら?

『ソロモンの偽証 後篇・裁判』を総合評価するなら、星5中の星2評価である。

うーん、前篇がそれなりに面白かっただけに、『ソロモンの偽証 後篇・裁判』の尻すぼみ感は拭えない。

特に、柏木がなぜあそこまで「生死」「偽善」に執着しているのかもよくわからない。

世界に嫌気がさした…みたいなことを神原に言っていたが、なぜそう思ったのか。なぜ自殺をしようと思ったのか。

その辺の「根本的なところ」が暴かれず、モヤモヤしたままで終わってしまったのは個人的に減点。

また、2年A組の担任の先生の郵便物を被害妄想で勝手に漁っていたあの女性も、事件自体には絡みがなかったのもちょっとなぁ…という感じ。

風呂敷を広げたけど、ちょっと収拾がつかなくなっちゃった感があって、個人的には星2評価レベルの作品だった。

『ソロモンの偽証 後篇・裁判』はどんな人にオススメ?

『ソロモンの偽証 後篇・裁判』は、前篇を観た方にオススメしておきたい。

前篇のモヤモヤ感を払拭したい方は必見である。

終わりに

『ソロモンの偽証 後篇・裁判』についてレビューしてきた。

中学生ぐらいだと、「偽善」とか「生きること」とかに執着を覚えてしまうのもわからなくはない。

偽善者の定義も曖昧なままで、とりあえず嘘をついているかのように善いことをしている人物を「偽善者」と言いたくなるもんである。

しかし、柏木自体が実は偽善者だということも忘れてはならない。

自分が善いことを、世直しをしているつもりにでもなっていたのだろう…。

偽善とは、目に見えて善い行いをしていることだけを指すのではないのである。