ふぉぐです。
ついさっき、『男はつらいよ 寅次郎恋愛塾』を観終わったので、さっそくレビューしていきたいと思う。
ちなみに、ネタバレ全開でレビューしていくので、まだ観ていない方はご注意を。
では、さっそくレビューに移ろう。
Contents
『男はつらいよ 寅次郎恋愛塾(第35作)』ってどんな映画?あらすじは?
『男はつらいよ 寅次郎恋愛塾』は、1985年公開のコメディ映画。男はつらいよシリーズの第35作目。
監督は山田洋次。主演は渥美清、倍賞千恵子、前田吟。マドンナ役に樋口可南子。
あらすじとしては、「九州は長崎で知り合ったおばあさんが急逝。そのおばあさんのキリスト教式の葬儀で、寅次郎はおばあさんの孫娘と知り合うことになる」という物語である。
寅次郎は夢を見ていた。
姥捨山の世界。ついに歳をとったおいちゃんおばちゃんを、お上の命令で山へ捨てざるを得なくなった寅次郎。
ひろしとともにおいちゃんおばちゃんを担ぎ上げて出発しようとするも、おばちゃんの体重が重くて後ろへのけぞってしまうのだった…。
_
寅次郎が九州は長崎県の五島列島で、テキ屋仲間のポンシュウとともに商売をしていた寅次郎は、五島列島であるおばあさんを助けることになる。
急に道で倒れてしまったおばあさんを家まで送り届けると、ついついおばあさんと仲良くなってお酒までいただく始末。
ポンシュウとともにおばあさんの家に泊まっていた晩、おばあさんの容体が急に悪くなって「神父様を呼んでおくれ」と小さな声で訴えかける。
次の日、おばあさんは亡くなってしまうのだった。
熱心なキリスト教信者だったおばあさんは、キリスト教式の葬儀をすることになる。
自分がヤクザな身の上なことを考慮してすぐにその場を後にしようとした寅次郎の元へ、おばあさんの孫娘が挨拶をする。
孫娘は江上若菜という名前で、今は東京で働いているのだという。
寅次郎は若菜のことが気になり始め、ついには東京に帰って若菜の元へと出入りするようになるが…。
『男はつらいよ 寅次郎恋愛塾(第35作)』は、寅さんの恋愛講座が聞ける作品だった
というわけで『男はつらいよ 寅次郎恋愛塾(第35作)』を観終わった。
まず最初の感想としては、
「今作は寅さんの恋愛講座まみれだなぁ」
という感じだろうか。
30作を超えたあたりから、徐々に寅さんの恋愛マスターぶりが発揮される作品が増えていくのだけれど、今作は特に寅さんの恋愛マスターぶりが発揮される作品だったように思う。
特に、若菜が住んでいるアパートの隣の部屋に住んでいる、弁護士・裁判官を目指す学生「民夫」への恋愛指南は、第1作とは比べ物にならないほど計画性に富んでいる。
寅さんの優しさが垣間見えるような、そんな作品だったように思う。
マドンナに恋心をほとんど抱かない、寅さん
今作の寅さんは、今までの寅さんの様相ではなく、むしろマドンナにほとんど恋心を抱かない。
むしろ、第6作の冒頭で、今作と同じく長崎に実家を持つ赤ん坊を連れた女性に対する寅さんと同じ感じがする。
宿代を払ってくれた寅さんに、その女性は自分の身体を売ろうとするわけだが、まるで寅さんはその女性の父親のような感じで、
「俺にはあなたと同じぐらいの若い妹がいるのだけれど、もし知らない男が妹の身体を欲しがったのだとするなら、俺はその男を殺すよ」
と女性に諭すシーンがある。
その寅さんと同じ感じである。マドンナのことを美人とは思いつつ、さらにはポンシュウに「またお前は惚れたか!」と罵詈雑言を浴びせかけられたが、今作の寅さんはそんな罵詈雑言に反応はしなかった。
そう、今作の寅さんは、マドンナにさほど恋心を抱かなかったのである。
そして、今作の題名でもあるように「恋愛塾」を開講する。
勉強漬けの毎日で恋愛とは程遠い法律家青年の恋路をサポートする。
そんな寅さんに、どこか寂しさを覚えてしまう私だった。
寅さんの、魅力
今作では、タコ社長の娘である「あけみ」が、意味深なことを言うシーンがある。
「今になって寅さんの魅力がわかってきたわー」
と。
あけみの、旦那に対する節々の愚痴から、寅さんとは正反対のような性格をしていることがわかる。
仕事から帰ってきたらぼーっと野球のニュースを見て、すぐに就寝する旦那。
あけみとしては、もっと旦那と話しがしたいのに…。
一方寅さんは、もちろん旦那ような日があるにしても、どちらかと言うと喋りたいタイプの人間だから、あけみとはウマが合うのあろう。
しかし、寅さんの魅力はあけみだけのものとして留まらない。
これまでの作品に登場したマドンナは、誰だって寅さんのことを慕うのである。
中には、寅さんだけが恋心を持って、マドンナ自体は普通に旦那を作ってしまう…と言うパターンがいくつもあった。
だけれど、大概の女性は寅さんの人柄に惚れ、そして仲良くなっていくのだ。
それだけ、寅さんは女性から見て魅力に溢れた男性なのかもしれない。
恋愛に不向きな男へのエール的作品
今作『男はつらいよ 寅次郎恋愛塾』でマドンナと結ばれることになる「民夫」は、恐らく恋愛に不向きな男性をモデリングした人物なのだと思う。
民夫に自分を重ね合わせる男性は多いのではないだろうか。
かく言う私も女性を前にすると民夫のようになってしまうので、自分と民夫とを投影してしまった。
そうしてみると、今作の寅さんはまさに恋愛指南として素晴らしいポジションにいるように思う。
民夫を墓に呼び出して自分が指南してやる!といったときに、
「僕は法律家を目指している身の上なので、人を騙すようなことはできません」
と変なポリシーを掲げた瞬間に、寅さんは一言バシっという。
「そうか、じゃあな」
さらっとしすぎて怖くなった民夫は、すぐに寅さんの元へ駆け寄って引き止める。
恋愛はそれぐらい厳しいものなのかもしれない。
『男はつらいよ 寅次郎恋愛塾』を総合評価するなら?
『男はつらいよ 寅次郎恋愛塾』を総合評価するなら、星5中の星4評価である。
うーん、ぶっちゃけ物語というか、ストーリー的には星3評価で妥当な気がする。そろそろマンネリ感がついてきて、手放しに楽しめるようにはならなくなった。
もちろん、サクサクとストーリーが進んでいくのは楽しいし軽快なのだけれど、
「あれ?このシチュエーション前にもみたな」
というような感じがして、まさにマンネリ感の塊になってしまっている。
ただ、マドンナ役の樋口可南子さんが美人さんだったので、その点を加味して星4評価とさせていただいた。
『男はつらいよ 寅次郎恋愛塾』はどんな人におすすめ?
『男はつらいよ 寅次郎恋愛塾』は、恋愛で迷っている男性には是非とも見て欲しい作品である。自分と民夫を重ね合わせて見てみることで、感慨深いものを感じることができるだろう。
終わりに
『男はつらいよ 寅次郎恋愛塾』についてレビューしてきた。
余談だが、今作のマドンナ・樋口可南子さんは、ソフトバンクCMのご婦人役である。
もしかすると、あの犬のお父さんは今作の民夫かも…なんてことを考えてしまって、それはそれで笑えてしまった。