【ネタバレ感想】『男はつらいよ 寅次郎紅の花(第48作)』は、最後に相応しい作品だった

ふぉぐです。

ついさっき、『男はつらいよ 寅次郎紅の花』を観終わったので、さっそくレビューしていきたいと思う。

ちなみに、ネタバレ全開でレビューしていくので、まだ観ていない方はご注意を。

では、さっそくレビューに移ろう。




『男はつらいよ 寅次郎紅の花』ってどんな映画?あらすじは?

『男はつらいよ 寅次郎紅の花』は1995年公開のコメディ映画。男はつらいよシリーズの第48作。

監督は山田洋次。主演は渥美清、倍賞千恵子、前田吟。マドンナ役に浅丘ルリ子。

あらすじとしては、「泉が結婚することになり、そのショックで結婚式をめちゃくちゃにした満男。自暴自棄になった満男は、奄美大島へ目的もないまま赴く。そこで出会ったのは、リリーと、そしてリリーの家に居候する寅次郎だった」という物語である。

阪神淡路大震災が起こった1995年。寅次郎から1月にくるまやへ贈り物があったきり、寅次郎とは連絡が途絶えていた。

新聞の尋ね人の欄を使うぐらい心配したくるまやの面々だったが、もちろん寅次郎からの連絡はない。

そんなある日、ふとテレビをつけると、ボランティア特集の番組にちらっと寅次郎が映り込む。

くるまやの面々は驚き、寅次郎が生きている事、そしてボランティアに励んでいる姿を見て一安心するのだった。

満男は、社会人として普遍的な生活を送っていた。諏訪家には、幾人もの女性から満男へ電話があるが、満男はどうにも乗り気ではない。

満男は、泉のことが忘れられない状態だった。

そんなある時、泉が名古屋から満男に会いに東京へやってくる。諏訪家でご飯を食べた後、二人は江戸川をサイクリングしつつファミレスへ。

ファミレスで、泉は衝撃的なことを言う。

「この夏、お見合いをしたの…。それで私、結婚しようと思うの」

満男は、自分の本心とは真逆のことを口走りまくり、泉をがっかりさせてしまう。

そして泉の結婚式の日。会社を無断欠勤した満男は、岡山で結婚式をあげる泉の元にレンタカーを走らせ、泉の乗った車を無理やりバックさせようとするのだった。

このことがきっかけで、泉の縁談は破棄。満男は失意の元に、流れ流れて奄美大島へたどり着く。

そこで出会ったのは、なんとリリー。そして、リリーの元には伯父である寅次郎が居候していたのだった。

『男はつらいよ 寅次郎紅の花(第48作)』は、最後に相応しい作品だった

と言うわけで『男はつらいよ 寅次郎紅の花』を見終わった…。

渥美清さん存命の最終作。

最初の感想としては、

「最後に相応しい作品だったなぁ…」

ということだろうか。

どうやら、山田洋次監督は今作の他に後2作品を作る予定で、全50作での終焉を予定していたらしい。

だが、前作ぐらいから渥美清さんの体調が悪化し、今作の出演は奇跡に近いレベルになってしまったのだという。

そのため、監督は「今作が最後になるかもしれない」という思いで、伏線を張りつつも今作が最終話となるような作品を目指したらしい。

そのためか、確かに伏線的な要素(満男と泉の関係など)は残りつつも、これが最後だと言われても全くおかしくないレベルに完成度の高い作品になっているなぁと思う。

いつもの寅さんのように、リリーと喧嘩してプイッと出て行ってしまうところ。

かと思えば、寅さんの優しさが滲み出るように、被災地である神戸へともう一度赴くところ…。

「寅さんといえば、こうだよね」

という、スタンダードな最後だったように思う。これが寅さんなのである。

久々の、寅さんとさくらの2階で話すシーン

男はつらいよの初期〜中期作では毎度おなじみのことだったが、今作では久しぶりに寅さんとさくらがくるまやの2階で話すシーンが盛り込まれている。

初期作や中期作では、寅さんがマドンナに振られて旅に出るところを、さくらが引き止める…というのが定番だった。

しかし、後期作になってからは、寅さんがすぐに諦めてしまうようなシーンが多くなったこと、そして旅先での恋模様が多くなったため、さくらと2階で話すシーンはほとんどなかった。

そう考えると、まるで初期作を思い起こさせるようなシーンを投入してくれたなぁと思う。

これはズバリ、監督なりの、

「本当のマドンナはさくらだよ」

という示唆なのかもしれない。

全編を通して、さくらは寅さんのことを心配している。マドンナの心配とは比べ物にならないぐらい、妹としての役割を果たしている。

寅さんとさくらは、絶対に恋仲になることはない。寅さんも嫌がるし、さくらも嫌がる。それに血縁でそういう関係は、なかなかに難しいところもある。

まるで、マドンナと絶対に恋仲になれないかのごとく、寅さんとさくらもまた必ず恋仲にはなれないのだ。

最終作だからこその、じんわりと感じるその切なさ。もしさくらが寅さんの血縁じゃなくて…、それこそ、八千草薫が演じた志村千代のような関係性だったのだとしたら、寅さんにも春が回ってきたのかもしれない。

桜の花びらが舞うように…なんてね。うまくもなんともねーやな笑。

満男の行動力

今作でびっくりしたのが、満男の行動力である。

泉が結婚式をあげるところに、車を突っ込んでいくその度胸。どうなってるんだ満男。

ファミレスであんなに意気地がなかった満男だったのに、土壇場になると急に力を発揮するのだ。

寅さんからすれば、満男の行動はありえないことだった。

「男にはな、じっと我慢しなければいけないことがあるんだ」

でも、リリーにとってみれば、満男の行動は正解だった。

「そうやって何もしないのがかっこいいとでも思ってるんだろ?女ってのはさ、わかりやすく行動して欲しいもんだっての!何もしないなんてのはね、ただのエゴだよ!臆病者さ!」

寅さんのことをけちょんけちょんに言いくるめるリリー。かっこいい。

とにかく、今回の満男の行動力にはおったまげる。あれだけの行動力があるのなら、もっと早くに行動してればよかったのに…。

満男の行動力は、寅さん譲りではない。おそらく…ひろし譲りのところなのだろう。

第1作で、寅さんから「さくらはやめとけ、あいつは脈なしだ」と言われた時のひろしの行動力。

満男ほどではないにしても、あの場面で愛を告げるひろしはかっこいいなぁと思う。そのあと電車で故郷へ帰ろうとしているところを、さくらが追って行って二人は無事に結婚することになるわけだ。

今作『男はつらいよ 寅次郎紅の花』を見ていて、そんな感慨深いものを感じた私であった…。

『男はつらいよ 寅次郎紅の花』を総合評価するなら?

『男はつらいよ 寅次郎紅の花』を総合評価するなら、星5中の星5評価である。

良い。最高に良い。「最終作」という先入観はあるものの、やっぱり良い。泣いちゃう傑作だ。

リリーが「うちにいらっしゃいよ」と満男を誘うところで、私はなんとなく「これ、寅さんがいるパターンじゃないか?」と思っていたのだが、まさに予想は的中した。そんなベタなところも良い。ベタだからこそ良いのだ。

渥美さんの病状悪化もあり、今作の寅さんが歩いているシーンはほとんどない。

ほとんどないのに、それがまた寅さんらしくて良い。歩く寅さんも良いが、歩かない寅さんも寅さんらしい。不思議なキャラクターである。

全体的にサクサクと物語が進んでいく。ダレるところもほとんどない。満男が車で突っ込むところは男は感じた。

名作である。

『男はつらいよ 寅次郎紅の花』はどんな人にオススメ?

『男はつらいよ 寅次郎紅の花』は、男はつらいよシリーズをここまで全て見てきた人だけに私はオススメしたい。

全てを見てきたからこその最終話である。全てを見たからこその感動になる。

おいちゃんおばちゃん、さくら、ひろし、タコ社長、満男…みんな歳をとった。第1作では生まれたばかりだった満男も、今作では会社員になっている。

時代の流れが感動を生む。そんな大きな変化を感じさせてくれる作品だ。

終わりに

『男はつらいよ 寅次郎紅の花』についてレビューしてきた。

ついに、終了。

残るは特別編だけなのだが、本作を持って渥美清さん存命作は幕を閉じる…。

寅さんは、神戸の街を訪れた後、どこで何をしたのだろうか。

「寅さん」という人物は、もしかしたら今でも日本のどこかのお祭りで、威勢のいい啖呵を切りながらポンシュウと一緒にテキ屋稼業をしているのかもしれない。

寂しい。でも、良い作品だった。

全48作、お疲れ様でした。