【ネタバレ感想】『男はつらいよ 旅と女と寅次郎(第31作)』は、生きる世界の違いを見せつけられる作品だった

ふぉぐです。

ついさっき、『男はつらいよ 旅と女と寅次郎』を観終わったので、さっそくレビューしていきたいと思う。

ちなみに、ネタバレ全開でレビューしていくので、まだ観ていない方はご注意を。

では、さっそくレビューに移ろう。




『男はつらいよ 旅と女と寅次郎』ってどんな映画?あらすじは?

『男はつらいよ 旅と女と寅次郎』は、1983年公開のコメディ映画。男はつらいよシリーズの第31作。

監督は山田洋次。主演は渥美清、倍賞千恵子、前田吟。マドンナ役に都はるみ。

あらすじとしては、「旅先で出会った不思議な女性は、実は人気演歌歌手だった…」という物語である。

寅次郎は夢を見ていた。

佐渡金山一揆の首謀者だった「柴又の寅吉」は、岡っ引きに御用されるほどの人物だった。

ある日、寅吉がとらやへと帰って金の塊を渡すと、岡っ引きが寅吉を捕まえに参上。しかし、寅吉は見事な身のこなしで岡っ引きを撃退する。

しかし、ひろしは岡っ引きとなっていて、それを知った寅吉は自分を捕まえることで、ひろしのメンツを立たせてやろうとするのだった。

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もうすぐ満男の運動会…という頃、ひろしは運動会の日に大事な仕事が入っていることを思い出す。

「満男には悪いが行けないな…」と思っている矢先、寅次郎が帰ってくるのだった。

もうすぐ満男の運動会があること、そしてひろしが行けないことを知った寅次郎は、ひろしの代わりに自分が運動会へと行くことを約束する。

しかし、あまりにも時代錯誤で恥ずかしい応援をしようとしている寅次郎を前にして、満男は寅次郎がくることを拒む。

満男の気持ちを知った寅次郎は、怒ってしまいどこかへ飲みに行ってしまう。

そして次の日、満男に置き手紙と少しばかりのお小遣いを封筒に入れ、すぐにとらやを後にするのだった。

寅次郎は新潟でテキ屋商売をしたのち、出雲崎から佐渡島へ渡ろうと船の船長に声をかける。

すると、どこかワケありの女性がふらっと寄ってきて、一緒に佐渡島へ渡ることになるのだった。

佐渡島の民宿でその女性と一杯やった寅次郎。女性が寝た後に民宿のおばあちゃんが、なにやら不思議なことを言い出す。

「サインでももらおうかいの」

寅次郎は、その女性が人気演歌歌手の京はるみだということを知り、仰天するのだった。

『男はつらいよ 旅と女と寅次郎(第31作)』は、生きる世界の違いを見せつけられる作品だった

というわけで『男はつらいよ 旅と女と寅次郎』を観終わった。

今作を観ていてまず思ったのは、

「生きる世界が違うって…こういうことなんだろうな」

ということである。

今作では、いつもの男はつらいよとは違い、一風変わった人物がマドンナとなる。

人気演歌歌手という肩書を持つ京はるみは、寅さんとは生きる世界が違う。

これまでのマドンナたちだって、(リリーや紅奈々子を除けば)寅さんとは生きる世界の違う人たちだった。

しかし、今作ではまさに「生きる世界の違い」というものをまざまざと見せつけられるような…そんな気がした。

象徴的なシーンの一つとして、

「京はるみがとらやの縁側で歌う」

というシーンがある。

京はるみが歌い始めて途中ぐらいで、寅さんは二階から降りてくる。

それまで降りてこないことに「おかしいな」と思ったさくらはホッとするが、寅さんがなにも言わずに黙って京はるみが歌っているところを見ているのを見てしまう。

「うまいなぁ」

「やっぱ違うなぁ」

ということはなに一つ言わず、ただ黙ってその場を見つめる寅さん。

佐渡島の民宿で、京はるみの歌声を聴いた時、

「や、うまいな…ゼニとれるぜ」

と感想を言っていたのに、とらやのシーンでは何も言わないのだ…。

この時の寅さんは、

「人気なのは俺じゃなくて、はるみなんだ」

と思っていたのではないだろうか…。

京はるみがとらやにきたことで、たくさんの人がとらやに集まってきた。

その状況にイヤイヤながらも嬉しい表情をしていたのは紛れもない寅さんである。

京はるみと二階で話している時に、印刷工場の階段からこちらを見ている工員を見て、

「全くしょうがねえな…」

なんて嬉しい表情をするのだ。

そして、京はるみが彼氏との寄りを戻した…という話を聞いて、いつもの失恋寅さんとなる。

京はるみが1階へ降りた時、寅さんに注目する人は誰もいない。

みんなが興味を持っているのは寅さんではなく京はるみなのだ…。

そのことを悟った寅さんは、とても悲しそうな顔をする。それをさくらは見たわけだ。

寅さんは、今作のマドンナを諦めていた

今作『男はつらいよ 旅と女と寅次郎』を見ていて思ったのは、今作の寅さんは一度マドンナを諦めている…ということだ。

というのも、寅さんが旅から帰ってきた時、京はるみと出会ったこと(京はるみの名前は出さなかったけど)をとらやの面々に伝えた後、京はるみからもらった指輪をさくらにあげてしまうのだ。

これは、おそらく寅さんなりの諦めだったのだろう。

もしマドンナのことを諦めていなかったのなら、指輪を大事に持っているはずだ。いい思い出として。

しかし、寅さんはさくらにあげてしまう。

「思い出に」と言って渡された指輪を、いとも簡単に手放すのだ。

寅さんの心情としては、指輪を見ると京はるみのことを思い出すのが嫌だったのだろう。

その証拠に、京はるみのカセットテープを一通り聞いた後、寅さんは満足げな顔をして、

「あ〜聞いた!たっぷり聞いた!」

と言う。それまで、京はるみにうつつを抜かして知らぬ間にカセットテープの再生機を持ってきてしまうほどだったのに。

寅さんの中で、なんとなく京はるみへの思いが断ち切れたのだろう…。

そんな矢先にとらやにやってくる京はるみは、なかなかにしたたかな女である。

『男はつらいよ 旅と女と寅次郎』を総合評価するなら?

『男はつらいよ 旅と女と寅次郎』を総合評価するなら、星5中の星3評価である。

いつもの寅さんクオリティなんだけれど、個人的にはちょっと物足りなさが目立ってしまった。

いつもよりも薄いというか…どことなく深みが足りないような気がする。

京はるみという人物の深掘りもなかなかされなかったし、京はるみが思いを抱く男性も出てこない。

全体として京はるみに思いを抱く寅さんに感情移入もできず、どっちつかずの中途半端な印象がある。

その点を加味して、星3評価とさせていただこう。

『男はつらいよ 旅と女と寅次郎』はどんな人にオススメ?

今作では、オープニングで演歌界の大御所である「細川たかし」も登場するので、まさに演歌ファンにはオススメの作品である。

ぜひ、一度見てみるといいかもしれない。

また、男はつらいよシリーズにマンネリを感じている人にもオススメしておこう。

終わりに

『男はつらいよ 旅と女と寅次郎』についてレビューしてきた。

余談だが、今作はどうやらローマの休日がベースとなっているらしい。

確かに、有名な京はるみをただの一般人が案内する様子は、ローマの休日チックである。

ただ、個人的にはローマの休日よりも今作の方が好きかな…という感じだ。

いずれ、もう一度ローマの休日でも見てみようと思う。