【ネタバレ感想】『男はつらいよ 幸福の青い鳥(第37作)』は、寅さんの出番が少ない作品だった

ふぉぐです。

ついさっき『男はつらいよ 幸福の青い鳥』を観終わったので、さっそくレビューしていきたいと思う。

ちなみに、ネタバレ全開でレビューしていくので、まだ観ていない方はご注意を。

では、さっそくレビューに移ろう。




『男はつらいよ 幸福の青い鳥』ってどんな映画?あらすじは?

『男はつらいよ 幸福の青い鳥』は、1986年公開のコメディ映画。男はつらいよシリーズの第37作。

監督は山田洋次。主演は渥美清、倍賞千恵子、前田吟。マドンナ役に志保美悦子。マドンナの恋人役に長渕剛。

あらすじとしては、「男はつらいよシリーズで度々登場していた劇団の座長が死去したと知った寅次郎は、線香の一つでもあげに家へと向かう。そこには、かつての劇団の小さな看板娘が大きな姿になっていた」という物語である。

寅次郎は夢を見ていた。

幸せの青い鳥を探しに山へと向かう寅次郎一行。

しかし、幸せの青い鳥はなかなか見つからない。

諦めかけたその時、寅次郎の前に青い鳥が現れる。

網で捕獲した青い鳥は、寅次郎たちを天国のような場所へと案内してくれるのだった。

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寅次郎は、九州の筑豊という地域に来ていた。

そこは昔、炭鉱で栄えた町だったが、今では舞台に来る客も少なくなってしまうほどになっていた。

昔、炭鉱で栄えていた頃によく芝居を見ていた寅次郎は、まだ準備中の芝居小屋へと見物に入っていく。

ふと、これまで幾度となく出会ってきた小さな劇団のことを思い出した寅次郎は、準備をしているおじさんに劇団の座長について伺ってみる。

すると、その座長は既に亡くなってしまっているのだという。

突如の訃報を聞いた寅次郎は、すぐに座長の家へとお悔やみを述べに向かう。

座長の家には、以前「大空小百合」という芸名で看板娘をしていた「島崎美保」が1人で暮らしていた。

突然の来訪者に不審がっていた美保だったが、これまでお世話になっていた寅次郎だとわかると、すぐに打ち解けるのだった。

美保の紹介で旅館に一晩泊まった寅次郎は、次の日に東京へと向かう列車に乗り込む。

筑豊を離れる前に、寅次郎は「とらやへ遊びにおいで」と、炭鉱でひっそりと暮らす美保を元気付け、また旅へと出てしまうのだった。

寅次郎のことが忘れられない美保は、東京へ上京しようと決心する。

『男はつらいよ 幸福の青い鳥(第37作)』は、寅さんの出番が少ない作品だった

というわけで『男はつらいよ 幸福の青い鳥』を観終わった。

まず最初の感想としては、

「なんだか寅さんの出番が少ないな…」

ということである。

うーむ、少ない。寅さんの出番が少ない。

逆に、マドンナと恋人(長渕剛)のラブロマンスが多めに語られているのは新鮮だった。

個人的にはちょっと物足りなさはあったけれど、前作の寅さんのように「徐々に大人になってるんだなぁ」というのが実感できる点は、良い作品だったのかもしれない。

幸福の青い鳥とは誰なのか

今作の題名は「幸福の青い鳥」である。

そもそも、「青い鳥」というのはメーテルリンク作の戯曲である。

ストーリーとしてはこんな具合だ。

クリスマス前夜,チルチルとミチルの兄妹は,幸せの使いである青い鳥を求め,妖精に導かれて思い出の国,幸福の園,未来の国などをめぐるが,どこにも見つからず,目がさめてみると,枕元の鳥かごに青い鳥がいた。

(コトバンクより引用:青い鳥

今作の冒頭の夢とほぼ同じである。

青い鳥を探していたら、青い鳥が現れて鳥かごのなかへGET。

今作をみる限りでは、幸福の青い鳥は寅さん自身なのでは…と推察するのが普通である。

寅さんこそが幸せを運ぶ力を持っていて、現に美保と健吾は結ばれる…。

しかし、私はここで疑問を呈する。

寅さん自身が青い鳥なのだとしたら、寅さんは一生幸せにはなれないのではないだろうか。

鳥にとって、鳥かごというのは地獄である。いや、外敵がいないという意味では天国かもしれない。しかし、寅さんにとって…さらには鳥にとって、「囲い」というのは極めてありえない地獄なのだ。

これまでの寅さんの言動を思い返してみれば、この疑問はすっきり晴れる。

「俺はよ、あんな雲みてえになりてえんだよ」

まさにフーテン暮らしを絵に描いたような寅さんが、青い鳥のようにカゴに収まってはいられない。

そう考えると、寅さんは青い鳥ではない。

では、寅さんは一体なんなのか。

その答えは、今作の夢で出ている。

寅さんは、さくらやひろし、そして源ちゃんを連れて、青い鳥を見つける…というを見ている。

原作の「青い鳥」も、

「幸福を探す夢を見ていて目が覚めたら、青い鳥がカゴに入っていた」

という結末である。

つまり何が言いたいかというと、今作の寅さんは青い鳥ではなく、むしろ「幸福を探す夢」そのものなのである。

寅さんは、美保に「とらやに来な」と告げる。これはまさに夢への誘いである。幸せを探す旅。

しかし、美保が東京へ来てとらやにいくら電話をかけても、全く寅さんは出ない。

チンピラに絡まれる美保を、思わぬところで助けてくれたのが健吾である。

この出会いがきっかけで、美保と健吾は徐々に仲を深めていくわけだが…。

つまり、今作『男はつらいよ 幸福の青い鳥』での「青い鳥」というのは、「美保と健吾」と考えるのが正しいように私は思っている。

要は、身近なところに幸せがあるよね…、幸せは自分で掴むものだよね…という意味だ。

今作の夢でも、ひろしが「幸せは自分の手で掴むものなんですよ!」と言っている。

そう考えるなら、寅さんが青い鳥だというのは不可解ではないだろうか。寅さんは幸せを運んだわけではない。寅さんは夢(東京)へと美保を誘っただけなのだから。

『男はつらいよ 幸福の青い鳥』を総合評価するなら?

『男はつらいよ 幸福の青い鳥』を総合評価するなら、星5中の星4評価である。

個人的にはちょっとマイナスイメージの強い作品だった。

面白くないわけではないんだけれど、少しずつ寅さんの勢いが削がれているような…。

仕方のないことなのだけれど、個人的には物足りなさを感じる作品である。

ただ、これまで劇団の看板娘として出てきた大空小百合をマドンナとしたのは、これまでの作品を踏襲した良い試みだと思うので、その点を加味して星4評価とさせていただこう。

『男はつらいよ 幸福の青い鳥』はどんな人にオススメ?

『男はつらいよ 幸福の青い鳥』は、個人的には男はつらいよシリーズの分岐点的な作品だと思っているので、男はつらいよシリーズで徐々にテイストが変わる様を見たい人にはオススメである。

終わりに

『男はつらいよ 幸福の青い鳥』についてレビューしてきた。

余談だが、今作マドンナの志保美悦子と長渕剛は、この作品がきっかけで結婚したらしい。

そういえば、沢田研二と田中裕子も男はつらいよシリーズでの共演がきっかけで結婚したらしい。

今作は寅さんの出番が少なく、マドンナと恋人とのシーンが多かったのもあるのかもしれない。