ふぉぐです。
ついさっき、『男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎』を観終わったので、早速レビューしていきたいと思う。
ちなみに、ネタバレ全開でレビューしていくので、まだ観ていない方はご注意を。
では、さっそくレビューに移ろう。
Contents
『男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎』ってどんな映画?あらすじは?
『男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎(第32作)』は、1983年公開のコメディ映画。男はつらいよシリーズの第32作。
監督は山田洋次。主演は渥美清、倍賞千恵子、前田吟。マドンナ役に竹下景子。
あらすじとしては、「ひょんなことから法事を任されることになった寅次郎が、お寺に住み込んでしまう。そこにさくら一家がひろしの父親の3回忌で現れる…」という物語になっている。
寅次郎は夢を見ていた。とらやの庭先でとらやの面々を眺めている寅次郎。
寅次郎のお見合い結婚で盛り上がってるとらやの面々をみて、微笑ましい気持ちになっているところに、なんと偽物の寅次郎がとらやへやってくる。
しかし、とらやの面々やタコ社長は、その偽寅次郎が本物だと思い込んでしまっているのだった…。
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寅次郎は、岡山県は高梁(タカハシ)というところにいた。
寅次郎は、ひろしの父親の墓参りに寄ったらしく、とらやに電話をかけてひろしの父の墓があるお寺を聞くのだった。
寅次郎が墓参りを済ませて、高台にあるお寺の階段を下っていると、下から酔っ払いの住職と、その娘らしき女性が登ってくるのが見える。
寅次郎はその女性を美しく思い、声をかけてお寺に舞い戻るのだった。
お寺では、住職とともに酒を浴び、次の日には帰ろうとする。
しかし、住職の娘の朋子が寅次郎を引き留めようとするのだった。
そこに、「法事のお迎えにあがりました」と、運転手がやってくる。
しかし、当の住職は二日酔いでゲロゲロ吐いていて、流石に法事にいけそうもない。
すると、寅次郎が住職の代わりとして、法事へと向かうことになる。
法事は大成功。さらには寅次郎の面白おかしい話術が評判となり、当の住職よりも寅次郎住職に仕事が舞い込むようになるのだった。
そこへ、さくら一家が父の3回忌で岡山にくることになる。寅次郎は住職に扮して、さくら一家を驚かそうとするのだった。
『男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎(第32作)』は、寅さんの意志の強さが見れる作品だった
というわけで『男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎』を見終わった。
最初の感想としては、
「今作は寅さんの意志の強さが現れるなぁ」
である。
今作を見て、私は評価がブッツリと別れるような気がしている。
というのも、普通の着眼点で見るならば、今作は寅さんの救いようのないダメさがにじみ出ている。
せっかく朋子から寅さんにアプローチしているというのに、当の寅さんはいつものようにダメっぷりを披露して、最終的には結ばれることなく寅さんは旅に出てしまう。
ここだけを見ると、確かに寅さんはダメなやつであり、そこが愛すべきポイントでもあろう。
しかし、私は今作の寅さんを見て、
「やっぱり寅さんは意志が強いなあ」
という感想を持ってしまった。
そう思ったきっかけは、朋子の弟の一道(中井貴一)が東京へ出て行ってしまった時、幼馴染で酒屋さんのひろみと寅さんが階段のところで話しているセリフからである。
「男ってやつはよ、愛する女性の顔を見ると信念が揺らぐんだよ。もしあんたと会って「やっぱりここにいようかな」と思っちゃうと、ズルズルとここにいちゃうんだよな」
セリフの端々は違うかもしれないが、確かこんなことを言っていた。
要するに、一度「こうすると決めた!」という信念があるところに好きな女性の顔を見てしまうと、信念が揺らいでしまうから、残酷だけれども好きな人の顔は見ずに出発する…。それが男よ!ということを言いたいのである寅さんは。
「なるほど」
と思った私は、そのまま映画を見進めていくと、最終盤シーンで朋子から愛の告白のようなものをされる(告白というよりは寅さんの心を確認する)シーンがある。
そのシーンで、寅さんは自分の気持ちに嘘をつく。
「あの場をやり過ごすために」
なんて言葉を言いながら。
普通ならば、
「何やってんだよ寅!」
と怒号でも聞こえてきそうなものだが、私はこの寅さんの態度に感服した。
そう、確かに寅さんは朋子のことが好きだった。自分が出家してでも一緒になりたい…そう思っていはずだ。
しかし、寅さんは最後の最後で自分がやりたいことに気づく。
自分は出家したいわけでもなく、お坊さんになりたいわけでもない。
自分がやりたいことは、自由気ままにフーテン暮らしをしながら、土地土地の人と交流してテキ屋商売をすることにある…ということを。
だから、寅さんは好きになった人との心をスパッと切り裂いた。
朋子からすれば寅さんの態度は残酷だ。さくらから見ても、寅さんの態度は残酷だったはずだ。
しかし、寅さんの心情からすれば、あれは粋である。それは、一道に東京に出て行かれたひろみをいたわるような、そんな優しさがにじみ出ていたのだ。
そして寅さんは、いつものように旅へ出てしまうのだった。
夢は、偽物の住職を演じる寅次郎への伏線か
今作の夢は、若干伏線チックである。
寅さんの偽物がとらやに現れるのに、とらやの面々は偽物の寅さんを本物だと思ってしまう。
住職的にも、偽物の寅さんの方が人気者になってしまって…という気持ちもあったのではないだろうか。
ただ、作品を見る限りでは住職にそんなそぶりはなかったので、結果オーライだけれども…。
『男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎』を総合評価するなら?
『男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎』を総合評価するなら、星5中の星5評価である。
久々の当たり回だったように思う。
全体としてサクサクと進むし、コメディ要素が全開なのもまた良い。住職に化ける寅さんの出で立ちも面白い。
そして、何と言ってもマドンナの竹下景子さんが美しい。
今作の朋子は、まさに女性の中の女性というか…。儚さの中にも美しさがあるというか…。
寅さんにはもったいないほどの美人さんだった。
最後の電車に乗るシーンでは、こちらとしてもドキドキしてしまった。男はつらいよシリーズ屈指の名シーンではないだろうか。
『男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎』はどんな人にオススメ?
今作は、男はつらいよシリーズを一度でも見たことがある人すべてにオススメしたい作品である。
完成度も高く、飽きる場面が一つもない。寅さんの面白い出で立ちも観れるレアな回である。
終わりに
『男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎』についてレビューしてきた。
余談だが、どうやら今作のマドンナである竹下景子さんは、あと2回ほどマドンナとして出演するようだ。
今作を含めると合計3回。
2回以上(同じ役柄ではないにしても)マドンナを演じているのは、
- 栗原小巻
- 吉永小百合
- 浅丘ルリ子
- 大原麗子
- 松坂慶子
- 大原麗子
- 竹下景子
- 後藤久美子
の8人である。
こうしてみると、「子」とつく女優さん多いな…と思った。粋である。