【ネタバレ感想】『寄生獣』は、グロテスクながらも人間の立ち位置を考えさせられる映画だった

ふぉぐです。

ついさっき、『寄生獣』をみたので、さっそくレビューしていきたいと思う。

ちなみに、ネタバレ全開でレビューしていくので、まだみていない方はご注意を。

では、さっそくレビューに移ろう。

『寄生獣』ってどんな映画?あらすじは?

『寄生獣』は、2014年公開の映画。

監督は山崎貴。主演は染谷将太、阿部サダヲ、深津絵里。

あらすじとしては、「普通の高校生・泉新一の腕に、謎の寄生生命体が宿る。生命体はミギーという名前になり、新一の周辺で不可解な事件が勃発する」という物語である。

地球に、まるでトカゲのような生命体が宇宙からやってきた。

その生命体は、人の耳の穴や鼻の穴から人体に入り込み、脳を支配して自分のものとして制御する…という特徴を持っていた。

その日、泉新一はイヤホンをして音楽を聴きながら寝ていたため、新一の元にやってきた生命体は、新一の身体に入り込む術を失い、やむなく鼻の穴から入ろうとした。

しかし、急に鼻の中に何かが入ったことでびっくりした新一は、虫でも入ったかとそばにあった紙を持って叩き潰そうとした。

だが、目の前にいたのはまるでトカゲのようなもので、とにかく殺そうとした新一だったが、なんと新一の手に傷をつけて、その傷から腕の中へ入ろうとした。

必死でそばにあったコードを腕に巻きつけて侵入を防ごうとする新一。

あまりにドタバタしていたからか、母親がやってきて新一を心配する。

母親が出ていって一見おさまったかのように思われたが、なんとその右手にこの世のものとは思えない生命体が宿ってしまった。

次の日、日本語をほぼ完璧に覚えたその生命体は、自らのことを「ミギー」と呼ぶように新一に言い渡し、もっと人間世界のことを知るために、真一に学校案内をさせるのだった。

それと同時に、新一が住んでいる地区では、奇妙な惨殺事件が相次いでいた。

『寄生獣』は、グロテスクながらも人間の立ち位置を考えさせられる映画だった

というわけで『寄生獣』を観終わった。

まず最初の感想としては、

「グロテスクながらも、人間の立ち位置を考えさせられる映画だな…」

という感じである。

正直言って、かなりグロい。

日頃からグロ系に慣れ親しんでいる人にはそうでもないのかもしれないが、私のようなグロビギナーから言わせると、かなりグロい。

だがしかし、『寄生獣』という作品が伝えたい『意志』のようなものは伝わってくる。

その最たるものが、ミギーの言った、

「人間は動物や魚、植物などを食べるじゃないか。我々はそれに比べて『人間』という一種族しか食していない」

という言葉である。

確かに…論理的に考えるとその通りだ。

人間世界では、一人が殺されると大事件になるが、それは人間世界のことである。

ミギーたち「人間ではない生命体」から言わせれば、人間が魚を食うようなものである。肉を食うようなものである。

だから、ミギーが言っていることも満更理解できないことはないのだ。

しかし、やはり人間から言わせると、ミギーたち捕食者は脅威であることに変わりはない。

人間とはいかに厄介な存在か…を考えさせられる映画だった。

『寄生獣』の良い点

『寄生獣』の良い点は、なんと言ってもストーリー展開がサクサクと進んでいくことである。

それに相まって、『寄生獣』という重苦しいテーマを潜めた作品もかなり楽しく感じる。

私は実際に『寄生獣』の原作を読んだことはないのだが、とはいえ今作の映画だけでも面白さがわかる(おそらく原作を読むともっと面白いのかもしれない)。

ただのSFグロ映画で完結するわけではなく、そこにちゃんと哲学的なメッセージを含めているところが憎い。

めちゃくちゃ面白い!ってわけではないけれど、ちょっとしたパニック映画的なドキドキを味わうことはできる。

それなりに面白い映画だった。

『寄生獣』の悪い点

『寄生獣』の悪い点は、最後の新一とAとの対決シーンである。

あのシーンで、Aの宿主である「母親」の意思が発動して、Aの斬撃を新一に当てさせないようにするカットがあるが、あれは個人的にはいただけない。

『寄生獣』はもっとシニカルでロジカルな映画でなければいけないと思う。

だからこそ、新一がミギーの細胞で死を免れた後に、「死んだ犬は、もう犬じゃない」というロジカルな思考ができるのである。

もちろん、人道的に考えれば死んだ犬だとしてもゴミ箱に捨てるのはありえないことだ。人としての感覚が狂っているとしか思えない。

しかし、「死んだ犬は、もう犬じゃない」というのは理屈ではわかることである。

この冷徹な雰囲気が、私は『寄生獣』の醍醐味だと思っている。そこに感情はなく、あくまで論理的かつ効率性だけを求める思考だけが存在するのである。

したがって、宿主である母親の意思が介在しているのだとすれば、最初に新一を刺したあのシーンでも「意思の力」を発動していなければならないのである。

だが、結局は最後の闘いだけで発動した。

ロジカルで冷たい雰囲気は一気に崩れ去り、ご都合主義的なシーンになってしまったわけである。

『寄生獣』を総合評価するなら?

『寄生獣』を総合評価するなら、星5中の星4評価である。

先ほどの「『寄生獣』の悪い点」というところではちょっと厳しめなことをいってしまったが、映画全体のクオリティとしてみるなら個人的には普通に面白い映画になっていると思う。

全体的にサクサクと進んでいくし、何よりミギーと新一の相性が良くて小気味よい。

ちょっとグロめだが、それもまた『寄生獣』という映画を彩る上では欠かせないスパイスになっているのだろう。

先述のようにめちゃくちゃ面白いわけではないが、普通に楽しめる映画である。

『寄生獣』はどんな人にオススメ?

『寄生獣』は、SF映画や哲学的なテーマが主体の映画をみたい人にオススメである。

「人間とは何か」というどこぞの哲学者が考え出しそうな壮大なテーマを根底に置きながらも、ちゃんと「楽しめる」映画に仕上げているのは素晴らしい。

終わりに

『寄生獣』についてレビューしてきた。

次の完結編が楽しみである…!