ふぉぐです。
ついさっき、『グリズリーマン』を観終わったので、さっそくレビューしていきたいと思う。
ちなみに、ネタバレ全開でレビューしていくので、まだ観ていない方はご注意を。
では、さっそくレビューに移ろう。
Contents
『グリズリーマン』ってどんな映画?あらすじは?
『グリズリーマン』は、2005年公開のドキュメンタリー映画。
監督はヴェルナー・ヘルツォーク。
あらすじとしては、「アラスカでグリズリーの保護活動を12年間もしていたティモシー、人呼んでグリズリーマンの活動記録をまとめたドキュメンタリー映画」となっている。
普通の家庭で動物好きの子どもだったティモシーは、順風満帆な生活を送っていた。
身長もそれなりに高く、顔もイケメン。成績も中の上と、非の打ちどころがない生活をしていたが、大学に入って悪い友達ができるようになると、麻薬などに手を染めてしまった。
また、酒にも溺れるようになり、もう少しで死んでしまうかもしれない…そんな状況だった彼を救ったのは、「動物を保護する」という活動だった。
ティモシーは一念発起し、アラスカにあるカトマイ国立公園(自然公園)へと夏の間だけ降り立ち、そこに生息するグリズリーやキツネと触れ合い、また超至近距離での撮影や、グリズリー同士の対決などをカメラに収め、その映像を子どもたちに無料でみせ、また無料で講義をする…という活動を行なっていた。
そんな活動を12年もやっていたティモシーだったが、ある日、彼女のエイミーと共にグリズリーに襲われ死亡してしまう。
彼の残した膨大な量のグリズリー及び国立公園で撮影した動物たちの映像をつなぎ合わせ、またティモシーと関係のある人々への取材を行なったドキュメンタリー映画である。
『グリズリーマン』は、自然界の厳しさが知れる超リアリティのドキュメンタリー映画だった
というわけで『グリズリーマン』を観終わった。
まず最初の感想としては、
「自然界の厳しさが知れる、超リアリティのドキュメンタリー映画だなぁ」
という印象である。
なかなかに素晴らしい映像がたくさんでてきた。
とても美しい風景。そこに暮らすグリズリーたち。そして彼らに接近するティモシー。
美麗で、繊細で、力強さを感じるのだが、そこにはもちろん厳しさもある。
今作の最後に、
「彼ら(野生動物たち)は、内に優しさを秘めているのではないのだと察した。彼らは、食に飢えているのだ」
という語りが、私の考えを落着させた。
そう、ティモシーが触れ合うグリズリーたちは、ティモシーのことを仲間だなんて一ミリも思ってはいなかったように思う。
自分たちのテリトリーに入ってくる礼儀知らずな人間…。グリズリーたちはそう思っていたように思う。
いや、「思っていた」というのもまた語弊がある。動物には「食欲を満たす」ことこそが生きることであり、それ以外の概念など「子どもをつくること」の他にはほぼないと言っても過言ではない。
つまり、グリズリーたちがティモシーを見るその目は、ティモシーを食うか食わないかしか考えていないのである。
それまでグリズリーたちがティモシーを襲わなかった(食べなかった)のは、ティモシーが見慣れない存在だったからではないだろうか。
よく、「人間を食べた熊は、また人間を襲うようになる」なんていうことを聞く。
これは、人間の味を覚えた…ということに由来するらしいが、私はその他にも「人間は弱い生き物だ」とその熊の中で認識したことによるところが大きいと思うのだ。
「英語は難しい」と思っていた人が、勉強を進めるにつれて「意外と英語ってパズルみたいで簡単だ」と認識することで、英語への苦手意識がなくなる…という感じではないだろうか。
つまり、熊の中でリミッターが外れたのである。だから人間を襲うのではなかろうか。
ティモシーがグリズリーに襲われなかったのも、そういった経緯があるように思う。
ティモシーは、独りよがりだったのかもしれない
『グリズリーマン』は、個人的には面白いドキュメンタリー映画だと思った。
しかし、ティモシーの考え方には賛同しかねる。
ティモシーはまるで、自分はグリズリー及びその他の動物たちを救う神かのように振る舞っていた。
特に個人的に「え?」と思ったのが、川の水不足でサケが上流に上がって来れなかった時に、川の水を増水させるためにティモシーが細工したシーンである。
いや、わかる。グリズリーのことを「かわいそうだ」と思ったがゆえの行動なのは明白だ。実に人間味に溢れているといえよう。
しかし、そうは言ってもやはり自然界である。
人間が年中ビニールハウスで安定的に作物を育てるのとは訳が違うのだ。
自然界に安定はない。餌が取れない日もあれば、豊富に取れる日もある。それは年単位で変わることだってあるだろう。
餌が取れなくなった結果、共食いをしてしまうことも、人間から見れば残酷でかわいそうなことかもしれない。だが、それが自然界なのである。
ティモシーは自然界でさえも安定を与えようとしていた。
しかし、安定がないことが自然界である…ということを忘れていたように思う。
『グリズリーマン』を総合評価するなら?
『グリズリーマン』を総合評価するなら、星5中の星3評価である。
個人的には及第点。まぁ楽しめるといえば楽しめる。
初めてドキュメンタリー映画を観た訳だが、『グリズリーマン』はリアルな映像で埋め尽くされているのでとても面白い。
だがしかし、残念だったのはティモシーの人間性である。
動物を愛することは素晴らしいことだし、自然を愛することも素晴らしい。
しかし、結果的に彼は自分のエゴを押し付けていたようにも見えてしまう。
動物界には必ず捕食者がいて、捕食者がいることで食物連鎖は数が増えすぎないようになっている。
キツネをかわいそうだと思うティモシーの気持ちはわからんでもないが、キツネを食べたことで生き延びることができる狼がいることも忘れてはならないのだ。
それはもちろん、人間だって同じである。
『グリズリーマン』はどんな人にオススメ?
『グリズリーマン』は、癒しが欲しい人にオススメしたい。
ほぼ全編を通してアラスカの広大な自然公園が映し出され、行ってないのにその場所に行った気になれる。
全てがリアルなので、リラックスするにはとてもいい映画だったように思う。
また、途中のグリズリー同士の闘いは見ものである。
終わりに
『グリズリーマン』についてレビューしてきた。
私がもし、グリズリーマンことティモシーのように、あんなに近くでグリズリーをみたら…おしっこちびってしまうかもしれない…怖い。
そういう意味でも、いい映画だったのかなと思う。