【ネタバレ感想】『虐殺器官』は、話の本筋が掴みにくい雲隠れ的作品だった

ふぉぐです。

ついさっき、『虐殺器官』を観終わったので、さっそくレビューしていこうと思う。

ちなみに、ネタバレ全開でレビューしていくので、まだ観ていない方はご注意を。

では、さっそくレビューに移ろう。

『虐殺器官』ってどんな映画?あらすじは?

『虐殺器官』は、2017年公開のアニメーション映画。

監督は村瀬修功。

あらすじとしては、「サラエボで核爆弾が投下されるテロが起こる。それにより、先進国(特にアメリカ)は、テロに対して厳しい姿勢を取るようになった。しかし、後進国では虐殺が横行するようになり、その中心にいるのが、ジョン・ポールという人物だった」という物語である。

ボスニア・ヘルツェゴヴィナの首都であるサラエボで、ある日核爆弾が投下される…というテロが起こる。

それから十数年がたち、アメリカなどの先進国では、対テロとして厳しい措置を取るようになっていた。

だが、後進国では、なぜか民族対立などにより虐殺が横行。子どもたちまでもが虐殺されるなど、かなり悲惨な状況になっていた。

そんな中アメリカでは、「情報軍」という形で新たにスペシャルエリート集団を組み、世界各国で戦争犯罪者的人物を暗殺するようになっていた。

その情報軍のエリート、「クラヴィス・シェパード」は、大尉として任務を全うしていた。

ある国での暗殺が終わり、同僚のウィリアムズとピザを食べながらアメフトの試合をテレビで観ていると、ウィリアムズの電話が鳴る。

電話の主は情報軍の上官で、ウィリアムズに「シェパード大尉を連れてペンタゴンへ来てくれ」と言っていた。

シェパードとウィリアムズがペンタゴンへ向かうと、政府高官やCIA高官たちがずらっと集まっていた。

そこで開かれた会議は、「ジョン・ポールという人物が、世界各国で虐殺をまねいている」というものだった。

そして、シェパードたちはこのジョン・ポールという人物を暗殺すべく、チェコへと潜入操作することになるのだった。

『虐殺器官』は、話の本筋が掴みにくい雲隠れ的作品だった

というわけで『虐殺器官』を観終わった。

まず最初の感想としては、

「話の本筋が掴みにくい作品だなぁ」

ということである。

うーむ、かなりSFチック…というかもろにSFである。ハードSFとはこのことか。

話の大方の筋としては、

「ジョン・ポールが後進国で虐殺をまねいているから、殺せ」

で間違いはないと思うんだけれど、じゃあなぜポール以外を殺してしまっていたのか…。

それこそ、最初に出てくるあの後進国政府高官みたいなおっさんを、普通に殺してしまっていたわけで。

ジョン・ポールが全ての元凶ではあるものの、そこから派生した派閥を殺している…というのはなんとなく理解できるんだけど、その…うーん、うまく言葉に表せないのが私の文集力不足によるものなのだが、なんかいまいちパッとしない。

そういう意味でも、話の本筋が捉えにくい作品だということだろう。

結局のところ、ジョン・ポールの目的ってなんだったの?

『虐殺器官』の命題であるだろう、

「なぜ、ジョン・ポールは虐殺を後進国で行わせていたのか」

というところを解説してみようと思う。

そもそも、事の発端はサラエボでの核爆弾投下のテロ事件である。

核爆弾により、ジョン・ポールの妻、そして娘は命を落としてしまった。

しかし、ジョンはその頃、ルツィアと不倫をしていたため、命を落とすことはなかったのだった。

それにより、ジョンは心の中に憎悪が生まれてくる。

ジョンは、「テロは裕福な国のものが起こすものではない、貧乏な国が起こすものだ」というような思想を持つようになる。

それがわかるのは、映画内で、

「俺はスターバックスに行って、アマゾンで注文すれば荷物が届くような、そんな世界を愛してやまない」

的なことをジョンが言っているところである。

妻・娘を殺されたジョンは、二度とこんな悲劇が起こらないよう、後進国同士が紛争をする様に仕向けたわけだ。

ジョンの比喩がそれを物語る。

「想像してみてほしい。まだ人間が農作業などを行なっていなかった時代。コミュニティのなかで生きていくことが楽で安心だということがわかった人間の元に、干ばつが起こるとする。このとき、君ならどうするだろうか?」

シェパードは、すぐにジョンの意味を理解する。

そう、ジョンは、干ばつが起こった時に一番楽な方法は、絶対数を減らして食料を維持すること。

すなわち、虐殺なのだという。

つまり、虐殺は「器官」として存在する、人間にもともとあるものなのだ…というのがジョンの考えだった。

それを利用し、ジョンは後進国諸国やその内部だけでのテロを起こさせる様にしていたわけだ。

『虐殺器官』を総合評価するなら?

『虐殺器官』を総合評価するなら、星5中の星3評価である。

個人的にはまぁ普通の感じ。SFが苦手だったりする人だと、マジで何を言ってんのか意味不明な作品だとも思う。

全体としてシーンごとの演出は素晴らしいのだけれど、如何せんストーリー展開などが難しく、

「で、今結局何をしてるんだっけ」

というのがわかりにくいのは明白である。

『虐殺器官』はどんな人にオススメ?

『虐殺器官』は、『虐殺器官』の原作小説を読んでいる方にオススメしたい。

私は原作を読まずに『虐殺器官』を見てしまったので、あまり理解できずに終わってしまったが、おそらく小説を読んでからだとかなり面白い作品なのでは…と思う。

終わりに

『虐殺器官』についてレビューしてきた。

余談だが、『虐殺器官』の原作者、伊藤計劃さんは2009年に亡くなっている。

伊藤氏の作品は、「ハーモニー」「屍者の帝国」、そして今作…という形で映画化されている。

この3つ、どれも哲学的要素が強く、なかなか難しい作品ではあるが、伊藤氏の頭の中はそういう考えでいっぱいだったんだろうな…と感銘を受けた。

暇があれば、いつかこの3作品、小説で読んでみたいところである。

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