【感想】『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』は、少年に感情移入できるかどうかで面白さが変わる映画だった

ふぉぐです。

今回は、『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』を観たので、早速レビューしていきたいと思う。

ちなみに、ネタバレ全開でレビューしていくので、まだ観ていない方はご注意を。

では、早速レビューに移ろう。




『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』ってどんな映画?あらすじは?

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』は、2011年公開のヒューマンドラマ映画。日本では2012年公開。

監督はスティーブン・ダルドリー。主演はトム・ハンクス、トーマス・ホーン。

あらすじとしては、「9.11テロで亡くなった父親が残した「鍵」の正体を掴むために、少年があらゆる場所を調べ回る」という物語である。

少年オスカーは、アスペルガー症候群を持っているため、幼い頃から他人とコミュニケーションをとることが苦手だった。

宝石店を営んでいる父のトーマスは、オスカーにコミュニケーションの大切さを知ってほしく、「調査探検」という遊びを提案する。

調査探検は、わからないことを人に聞いたりして徐々に解明していく…という遊びだった。

何度か調査探検をするうちに、トーマスは「幻のニューヨーク第6地区を探してみよう」とオスカーに話す。

オスカーは幻にニューヨーク第6地区を探すために、どんどん調査探検にのめり込んでいった。

しかし、有名なテロ事件9.11が起こり、父はテロに巻き込まれて死亡してしまう。

父を亡くしたショックで、オスカーは調査探検をやめてしまった。

父の死から1年後。オスカーが父のクローゼットを漁っていると、奥にしまってあった青いツボが落ちて割れてしまう。

その中には、小さな封筒が入っていて、中には鍵が入っていた。鍵の正体がなんなのかを知るために鍵屋さんにいくと、「この鍵は金庫とか、かなり大層なものの鍵みたいだ」というヒントをもらう。

さらに、鍵の入っていた封筒の左上には「Black」と書かれていた。

オスカーは、「これは父親が残した第6地区のヒントなのかもしれない」と思い立ち、中断していたニューヨーク第6地区の調査探検を再開した。

オスカーは、「Black」が人の名前であると予想し、名前に「Black」が入っている人物を洗い出し、ニューヨーク5区までにいる人物総勢472名を一人一人訪問する調査をする。

調査の初めに「アビー・ブラック」という女性の元を訪ねたり、その後幾人ものブラックさんを訪ねてまわるも、ヒントになりそうなものは何一つ出てこなかった。

ある時、祖父の家を間借りしているおじいさんと知り合う。おじいさんは発声障害か何かで声を出せず、紙で意思疎通を図っていた。

おじいさんはオスカーに連れられて一緒にブラックさん探しに出る。

おじいさんは、何やら事情があるらしく、ブラックさん探しの途中に自分の人生を語り始めた。

オスカーは徐々にそのおじいさんが自分の祖父であることに気づいていく。

しかし、祖父はオスカーのためにしてやれることがなく、ただオスカーを傷つけただけだと悟り、オスカーの元からいなくなってしまう。

オスカーは、何気なく父親が残した新聞の切り抜きを懐中電灯で照らしながら見ていた。

すると、今まではオモテ面のとある一文にしか注目していなかったが、実は裏面にも丸印がついていたことを発見する。

そこには、「遺品セール」と書かれた電話番号が書いてあった。

電話番号に電話すると、なんと初めに訪れた「アビーブラック」が電話に出るではないか。

アビーの元に向かうと、どうやらアビーの夫が「遺品セール」を開いていたのだという。

しかし、アビーの夫は衝撃的なことを言う。

「もしかして、青いツボに入っていた鍵の話だったりするかな…?」

そう。なんとその青いツボは遺品セールでトーマスが手に入れたもので、鍵もアビーの夫宛のものだったのだ。

途方に暮れるオスカーは、家でこれまで作ってきた探検キットなどを破壊してしまう。

しかし、母親が現れ、実はオスカーのこれまでの調査を先回りして色々と手を回していてくれた事実を知る。

オスカーは、これまで訪れたブラックさん宛に手紙を書き、ついでに祖父にも手紙を書いた。

そして、ブランコに行くと…そこには父からの手紙が挟まっていたのだった。

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』は、少年に感情移入できるかどうかで面白さが変わる映画だった

ぶっちゃけて言わせていただく。

個人的には、かなり面白い映画だったし感動した。

しかし、この映画を本気で「泣ける」と思うほどには、私はオスカーに感情移入ができなかった。

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』では、少年オスカーのアスペルガー症候群の特徴がよく表現されている。

例えば、電車に乗るときなどにタンバリンを持たないと、怖くて乗れない…などである。

そして、祖母宅の間借り人(結局祖父だったけど)に自分が溜め込んでいたことをどんどんぶっきらぼうに話すシーンである。

これまで溜め込んでいた鬱憤などが思いがけないところで発散してしまったのだろうか。

私は、どちらかと言うと自分の中に鬱憤を溜め込んでいても、「しょうがねーか…」で発散できる人間である。

だから、誰かに向かって一気に吐き出してスッキリする…という行動がよく理解できなかった。

おそらく、少年オスカーに感情移入すればするほど、この映画はかなりの超名作と言える映画になるのだろう。

私としてはかなり面白いとは思ったが、先述のように「泣けるぐらい感動した」というほどでもなかった。

ストーリーが結構複雑&考えさせられることが多々ある

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』は、ストーリーが結構複雑かな…と感じた。

映画を後から振り返ってみれば、「9.11で父親を亡くした少年の物語」としてまとめることはできるが、映画を観ている段階ではなかなか全体像が掴みにくいな…と。

映画の表現として今→昔→今→昔…と交互にシーンが挿入されたりするので、ストーリーが複雑に感じてしまったのかな…と思った。

また、『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』は考えさせられることが多い。

それこそ、『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』の舞台設定となっている9.11である。

9.11の時は、私はまだ小学生ぐらいだったはずなので、鮮明な記憶は無いし、ニュースを見ていた覚えもない。

だからこそ、9.11については今一度考えなければならない世代なのではないか…とも思う。

このまま風化させるような事件ではないし、すでにグローバル社会となっている今、当時以上にテロには気をつけなければならない。

そして『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』では、「障害」も大きなテーマとなっている。

世間的にみれば…人から疎まれやすい障害者だったとしても、オスカーのように一つのことにのめり込んで才能を発揮する。

物語後半のシーンで、母がオスカーをサポートしていた…となっているが、まさに人のサポートは重要である。

あまりこういう…なんだろ、クッサいセリフみたいなものは言いたくないのでここらで手を引くが、大きなテーマが2つも存在している映画である。

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』の意味ってなんだろ

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』というタイトルを見て、私はかなり不思議に思った。

「なんか、昨今のラノベみたいなタイトルだな」と。それこそ「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」的な。

映画を観終わって、『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』というタイトルの意味について考えると、なかなかの袋小路にぶち当たる。

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』とは、どういう意味なのだろうか。

個人的に考えたのは、「『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』は存在を表してるよな」ってことである。

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』では、主要人物として「父・母・祖父・祖母・アニーブラック・アニーブラック夫」が出てくる。

アニー・ブラック夫妻はぶっちゃけさほど映画タイトルに関係してるとは思えないので除外する。

そうなると「父・母・祖父・祖母」のどれかになるか…と考えるわけだが。

ありえそうなのは「父・母・祖父」の3人である。

だが、祖父は発声障害で喋れないので「うるさい」という感覚にはならないから除外。

残るは「父・母」となるけれど、ぶっちゃけどちらも「ものすごくうるさい」わけでもないし、「ありえないほど近い」わけでもない。

では、『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』の意味するものとはなんなのか…と考えると、私はとあるシーンを回想することになる。

「そういえば、オスカーって祖父にめちゃくちゃ自分の鬱憤を言いまくってたな…」

「そういえば、オスカーって自暴自棄になって自分が作ったものを壊しまくってたな…」

そう、私が考えうるに、「『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』」はオスカー自身のことである。

もっといえば、「オスカーの中にいるもう一人のオスカー」のような感じだろうか。

最後、父親からの手紙で「おめでとう、第6区の存在と自分のすばらしさを証明した」と書いてあるが、これが一つの答えとなっている。

つまり、オスカーは自分の中に越えるべき壁を持っていたことになる。その越えるべき壁こそがオスカーを苦悩に導いた「うるさい存在」なのではないだろうか…なんて。

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』を総合評価するなら?

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』を総合評価するなら、星5中の星4評価である。

全体的に考えさせられるシーンが多く、演出もよかったしストーリーも良かったので評価点は高い。

だが、個人的にオスカーへの感情移入がさほどできなかったので、星を一つ減らして星4評価とした。

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』はどんな人にオススメ?

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』は、日頃失敗続きて落胆している人に観て欲しい。

オスカーが頑張る姿だったり、自暴自棄になってしまうシーンだったり…。

共感できるシーンがあるので、ぜひ観て欲しい映画である。

終わりに

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』についてレビューしてきた。

余談だが、父親役のトムハンクスと祖父役のマックス・フォン・シドーが結構似てて本当に親子みたいだな…って思った。

トムハンクスといえば個人的には「フォレスト・ガンプ」が好きなので、もう一度みようかな…と思った次第である。