【感想】パンズ・ラビリンスは、グロいシーンが多い難解なファンタジー映画だった

ふぉぐです。

ついさっき、「パンズ・ラビリンス」を観終わったので、早速レビューしていこうと思う。

ちなみに、ネタバレ全開でレビューしていくので、まだ観ていない方はご注意を。

では、早速レビューに移ろう。

パンズ・ラビリンスってどんな映画?あらすじは?

パンズ・ラビリンスは2006年公開のメキシコ・スペイン製作のファンタジー映画。日本では2007年公開。

監督はギレルモ・デル・トロ。主演はイバナ・バケーロ。

あらすじとしては、「地底の世界にある、何の苦しみもない王国に戻るため、姫が3つの試練に挑む」というファンタジー要素全開な物語になっている。

地底には、「何の苦しみも病気もない王国」が存在していた。そこにいた姫は、人間界に行きたくなったのだが、太陽の光を浴びた途端に自分が誰なのかを忘れてしまって、やがて死んでしまった。

地底の王国にいた王様たちは、姫が死んでしまったことを悔やんでいたが、姫の魂はまた戻ってくることを信じていたのだった。

スペイン内戦後の時代。少女オフェリアは、仕立て屋だった父を亡くしていた。新しい父親は軍隊の大尉であるヴィダルだった。

母親はヴィダルの子を身ごもっていて、ヴィダルの「生まれてくる子は父親の元で生まれるべきだ」という意向のもと、オフェリアと母親は森の中にある軍隊の砦で生活することになる。

軍隊は、数十〜数百名いるであろうレジスタンス軍との戦闘のために砦に駐留しているのだった。

その中で、軍隊家政婦役のメルセデスという女性だけが、オフェリアの子守役をしてくれたが、メルセデスは実はレジスタンス軍のスパイだった。

父親も相手にしてくれず、母親も身ごもっているためなかなか遊んでくれない状況で、オフェリアは孤独を感じていたが、おとぎ話を読むことでなんとなく孤独を忘れていたのだった。

そんなある時、自分を追ってついてきた大きな虫が、妖精に変化した。

その妖精は、オフェリアを森の中にある迷宮に誘った。迷宮には「パン」と呼ばれる悪魔のような風貌をした番人いた。

パンは、「あなたこそ地底王国の姫君だ」という。

そして、3つの試練を乗り越えられれば、また地底の王国に戻れるのだという。

オフェリアは、試練を乗り越えるために挑戦を選択した。

パンズ・ラビリンスは、グロいシーンが多い難解なファンタジー映画だった

パンズ・ラビリンスを観た初っ端の感想としては、「なかなかにグロい映画だな」という感じだ。

さらに言えば、ストーリーも難解で、手放しで楽しめる作品ではないとも思った。

一番の謎は、オフェリアのファンタジー要素は全て妄想だったのかどうか?という疑問である。

孤独を紛らわすため、妄想をしていたつもりが、妄想そのものが現実になってしまった…的な。よくあるストーリーかと思えば実はそうでもないらしい。

個人的には、本当に「地底王国」というものが存在して、パンや妖精たちも実在していたのだろうと思う。

だが、最終的にオフェリアは殺されてしまって、最後のシーンでは地底王国に帰ってきたような描写がある。

あれだけを見るなら、オフェリアは夢を見ていただけのように思えるが、冒頭のシーンで「王様は、姫の魂がもう一度帰ってくるのを信じている」と言っていた。

つまり、オフェリアの肉体が王国に帰るのではなく、オフェリアの魂が帰っていく…という考え方ができる。

地底王国というのは、日本で言うところの天国的なものなのだろう。

天国は上だが、地底世界は地下にある。その辺の面白さもあるように思った。

パンズ・ラビリンスが伝えたいものは、「世界は厳しい」ということである

パンズ・ラビリンスが伝えたいものは、

「現実が困難になった時はおとぎ話に逃げるのが良いよ」

という生易しいことではないと私は解釈している。

むしろその逆で、「世界は厳しいよ」ということを伝えたかったのでは…と思っている。

冒頭の地底王国のシーンには、

「むかしむかし、地底の世界に病気も苦しみもない王国がありました」

という一文がある。

この一文がすでに現実世界と相反することを示している。

確かに、病気も苦しみもない、全ての人が幸せに暮らす王国があれば、それはとても素晴らしいことだ。

しかし、それはまさにおとぎ話だけの世界である。

現実は、人間たちの嫉妬・欲望などが渦巻いていて、病気になる人もいれば生きることに苦しみを見出す人もいる。

かの有名な哲学者ニーチェは、「超人思想・永遠回帰」という思想を提案するが、まさにこれと同じことを言っている。

「世界は辛く厳しいものである。超人たれ。」と。

ここでいう「超人」とは、スーパーマンのような常人離れした人間のことを指しているのではない。

「畜群」と呼ばれる、他人の顔色ばかりをうかがって、ちょっとでも異質な人間が現れると袋叩きにするような人間たちを受け入れる人物のことを指している(解釈は色々あれど、私はこのように解釈している)。

また、勇気の心理学者として最近話題になっているアドラーも、「人間の悩みは全て人間関係の悩みである」と言っている。

つまるところ、病気も苦しみも、全てが無いような世界なんてのは存在しない。

人間たちが存在している時点であなたの敵にもなるし味方にもなる。

人間関係が原因で病気にもなるし、苦しみも味わう。

だから、たくましく生きていかなければいけないよね…というのがパンズ・ラビリンスの伝えたいことなのではないだろうか。

決して、「苦しい時はファンタジーに逃げろ」というような生易しいものではないように私は思っている。

グロいシーンがキツイ

パンズ・ラビリンスでは、グロいシーンが結構豊富にある。

一番強烈だったのは、ヴィダルの口元をメルセデスがナイフでサクッと切っちゃうシーンだ。

あれはやばい。なんちゅーことをしとるんじゃい…。

その後、ヴィダルが自室で口元を糸で縫うシーンもあるが、あれも生々しくて怖い。

あと、ウサギ狩りをしていたところを軍に捕まってしまった親子もかわいそうである…。

本当にウサギ狩りをしていただけだったのに、ヴィダルに二人とも殺されてしまう。

特に、息子は持っていた水筒でヴィダルに顔面を何回も叩かれて、最後は銃で撃たれてしまう。

むごすぎるぜヴィダルさんヨォ…。

パンズ・ラビリンスを総合評価するなら?

パンズ・ラビリンスを総合評価するなら、星5中の星4評価である。

全体的にまとまりがよくて、「ダークファンタジー」として異質な感じがするのもグッドである。

ストーリーはちょっと難解だし、グロテスクなシーンも豊富だが、それもまたパンズ・ラビリンスに良い味を出してくれるスパイスになっているのだと感じた。

パンズ・ラビリンスはどんな人にオススメ?

パンズ・ラビリンスは、暗い雰囲気が強く、笑いがあるような映画ではないので、暗い気持ちになりたい方にオススメだ。

それこそ、自分が今辛い状況にあって、映画で共感を得たい…みたいな人にはうってつけの映画のように思う。

だが、あまりストーリーに入り込みすぎると、それこそダンサーインザダークを見た後みたいな鬱状態になるかもしれないので要注意だ。

終わりに

パンズ・ラビリンスについてレビューしてきた。

ファンタジー映画だとは聞いていたけれど、ぶっちゃけさほどファンタジー要素はないような…気もする。

パンとか妖精とか、後あの…バイオハザードに出てきそうな白いバケモノとか。

その辺は若干ファンタジー要素はあるけれど、全体としてみれば現実世界の描写が多い。

パンズ・ラビリンスというテーマで、人生の厳しさを伝えたかったのでは…という監督の意向を感じる。

ではでは。