ふぉぐです。
ついさっき、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を観終わったので、早速レビューしていこうと思う。
ちなみに、ネタバレ全開でレビューしていくので、まだ観ていない方はご注意を。
では、早速レビューに移ろう。
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『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』ってどんな映画?あらすじは?
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』は、2014年(日本では2015年公開)のヒューマンドラマ映画。
監督はアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ。主演はマイケル・キートン。
あらすじとしては、「かつてのスター俳優が、舞台俳優として返り咲こうとする姿を描いた作品」という感じである。
かつて、「バードマン」という映画で一躍人気スターになった「リーガン・トムソン」は、ブロードウェイ進出をかけて自ら監督・脚本・主演を務める舞台を製作していた。
リーガンは、すでに60歳を超えていて、バードマンで人気スターになったのも20年以上も前の話。今ではクイズ番組で「バードマンの中身は誰だったでしょう?」という問題が出されてしまうぐらい、時代に置いていかれてしまった存在だった。
リーガンは、再起をかけてブロードウェイ進出を果たそうと、娘のサムをアシスタントに起用し、助演には今付き合っているローラ、そしてブロードウェイの劇に初出演するレスリーが抜擢された。
舞台稽古中、同じく助演のラルフの頭上に舞台ライトが落ちて負傷してしまい、代役を探すことになる。
すると、レスリーが「一緒に住んでるマイクなんてどうかしら」と提案し、マイクに決定する。マイクはブロードウェイでも有名な舞台俳優だった。
しかし、マイクは舞台のことになるとかなり入れ込んでしまう悪い癖があった。
舞台の本番中にジンを飲んだり、舞台のインタビューでも有る事無い事発言して、リーガンの立場を小さくしてしまっていた。
リーガンは、自分の舞台をどうやって成功させ、そしてまたかつてのように脚光を浴びれるか…を模索していた。
その日の舞台で事件は起こる。出番前に楽屋の外で衣装を着たままタバコを吸っていると、ドアがしまって衣装が挟まれてしまった。
そのドアはオートロック?というか、外からは開けられないような構造になっていて、リーガンは衣装を挟まれたままドアの向こうの人に助けを呼ぶが、一向に助けてくれる気配はない。みんな舞台で忙しかったのだ。
仕方なく、リーガンは衣装を脱いでブリーフパンツ一丁のまま、ブロードウェイの公道を歩いて舞台の入り口まで向かうことにした。
道の途中、「バードマン役立ったリーガンだ!」ということで、通行人たちからビデオや写真を取られまくりながらも、なんとか舞台に戻ることに成功する。
リーガンは、客席後方から舞台に参加し、客たちは驚きながらも、斬新な演出に喜んでいた。
そして、舞台は終了し、客からの反応もこれまで以上によかった。また、不仲だった娘のサムも、「まぁまぁよかった」と賛辞を送り、リーガンは不本意ながらも喜んだ。
ネット上では、リーガンがブロードウェイをパンイチで歩いている様子が動画でアップされ、かなりの話題を呼んだ。
舞台本公演の前日。ニューヨークタイムズの舞台批評家の「タビサ」という女性にリーガンは接近する。
タビサの批評は、その舞台をロングランヒットにさせるか打ち切りにさせるか…ぐらいの力を持っていて、リーガン的にはタビサと仲良くしてロングランヒットをさせたかった。
しかし、タビサはリーガンの思いとは裏腹に、リーガンの舞台を酷評しようとしていた。リーガンが「舞台をきっかけにもう一度のし上がろうとしている」ことに不満だったのだ。
リーガンもタビサに毒づくが、タビサは批評家という立ち位置である以上、リーガンに勝ち目はない。
リーガンは本公演で、「本物の銃」を手に取った。
舞台の最終幕。リーガン演じるキャラクターが頭を撃って自殺するシーン。
リーガンは本物の銃の引き金を引いて、舞台に倒れこんだ。
観客はあまりのリアリティに驚きを隠せなかったが、すぐにスタンディングオベーションとなった。
次の日のニューヨークタイムズにはタビサの批評が載っていて、そこには「無知がもたらす予期せぬ奇跡」とあり、リーガンが本物の銃と偽物の銃を取り違えたことで生まれたリアリティ…的なことが書かれていた。
リーガンは、頭を撃ち抜いたかのように思えたが、鼻を吹っ飛ばしたぐらいで命に別状はなかった。
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』は素晴らしい感動映画だった
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』は、素晴らしい感動映画だったように思う。
一見すると、特に感動する場面がないようにも見える。
リーガンがブロードウェイの街中をパンツで闊歩する様子はさながらコメディ映画のようだし、途中でバードマンが実像として現れた時はまさにアクションヒーロー映画のようだった。
しかし、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』は、素晴らしい感動映画なのである。
主人公リーガンは、落ちぶれてしまった役者。まずこの設定で感動要素が生まれている。
リーガンの焦っている様子。「現代の科学力(twitterやFacebookなど)」を疎ましく思っている感じ。そして、「バードマン」として戻ったほうがいい…と訴えかけてくる自分の心。
そのどれを取っても、「過去にしがみついていたい」という気持ちが見えている。ここががまた辛いところでもある。
今の時代、ツイッター、フェイスブック、youtube。とにかく活用すれば道はひらけてくる。
娘のサムも、劇を成功させるより、youtubeやツイッターで有名になったほうが価値がある…と思っているわけだ(実際にリーガンに訴えかけるシーンもあったし)。
だが、リーガンは頑なにそれらをやろうとはしない。バードマンて一躍人気者になった自分が、そんなもので有名になるなんて不本意だからだ。
しかし、世間的にはリーガンの気持ちに反して、リーガンがパンイチで街を歩く姿を激写して話題になった。結果的に、舞台は大成功した。
リーガンの不本意とは裏腹に、世間は盛り上がりを見せる。リーガンの心を思うと感動映画である。
ラストシーンの意味とは
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を見たあなたならわかるとは思うが、あのラストシーンの意味について考察をしていきたいと思う。
ラスト。鼻を吹っ飛ばしたリーガンは、まるでバードマンのようになった自分の顔を見て、そのあとに窓の外に乗り出す。
娘のサムがリーガンがいないことに気づき、窓の外に乗り出して下を見るもリーガンの姿はなく。
上を見て、ニヤッと笑って、映画は幕を閉じる…という感じだ。
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』では、「バードマン」が重要な鍵を握っている。
バードマンは空を飛べた。
単純に考えるなら、サムが上を向いてニヤッと笑う姿=リーガンのバードマン化…的な感じなのだろう。
しかし、個人的にはそんな単純ではないのかな…とも思う。
まず、サムが窓の下を見て「リーガンがいない」と思っているが、実はリーガンは自殺をしていたのではないか…と考える。
あのシーンで、かすかに救急車のような音が聞こえる。
おそらく、サムが部屋に入ってきた頃には、救急車はもうリーガンを乗せて病院に向かっていた…。
そして、サムが顔を上げてみたものは、リーガンの舞台が大盛況だ!…的な広告だったのかもしれない。病院内にマスコミたちが押しかけていたし、サムもツイッターにリーガンの痛々しい写真をアップしていたし。
または、リーガンが自殺したことを告げるパネルを見たとも考えられる。
どちらにせよ、あの終わり方は様々な解釈をすることができる。
そこもまた、面白いところの一つなのかもしれない。
長回し手法がすごい
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を見ていて思ったのは、ワンカメでずっと映画が撮影されているような手法を使っていることだ。
まるでドキュメンタリーのような感じになっていて、とても面白かった。
どうやらあの撮影手法は、高度な技術をたくさん用いたり、計算され尽くされた撮影手法を使っているとのことである。
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を総合評価するなら?
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を総合評価するなら、星5中の星5評価である。
う〜む、すごい。
本当に面白いなぁと思った。
落ちぶれてしまった人気スターの葛藤を生々しく描いているし、撮影手法もすごい。そしてオチは解釈の仕方が様々ある感じ。
どれを取っても個人的には「いい映画だなぁ」と思った。
また、全体としてドラム演奏がバックで流れているのも良い味を出している。
ドラムといえば、「リズム」を奏でる…バンドで言うなればリズム隊である。つまりは縁の下の力持ち的な。バンドの土台である。
つまりは、リーガンにはすでに「人気スターだった」という土台がある…ということを示唆していたのかもしれない。
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』はどんな人にオススメ?
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』は、正直鬱屈なところも多々あるので、今人生に色々迷っている人にオススメしたい。
リーガンの置かれている境遇に共感できるとともに、意外なところで突破口が見つけ出せるかも…という教訓にもなるだろう。
終わりに
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』についてレビューしてきた。
余談だが、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』にはエマ・ストーンが出てくる。そして劇中では「ライアン・ゴズリング」の名前も出てくる。
そう、まるで「ラ・ラ・ランド」の存在を示唆しているかのような…って、そんなわけないか笑。