ふぉぐです。
ついさっき、『アメリカン・スナイパー』を観終わったので、早速レビューしていきたいと思う。
ちなみに、ネタバレ全開でレビューしていくので、まだ観ていない方はご注意を。
では、さっそくレビューに移ろう。
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『アメリカン・スナイパー』ってどんな映画?あらすじは?
『アメリカン・スナイパー』は、2014年(日本では2015年)公開の戦争・ドラマ映画。
監督はクリント・イーストウッド。主演はブラッドリー・クーパー。
あらすじとしては、「米軍史上最強のスナイパーであるクリス・カイルの物語」になっている。
クリス・カイルはカウボーイを目指す、ごく普通の青年だった。
幼い頃から「強くなれ」という父親の教育方針によって、狩猟銃などの扱い方に長けていた。
カウボーイを目指すクリスに、人生の転換期となる出来事が起こる。
それは、「アメリカ大使館爆破事件」だった。
爆破事件をきっかけに、クリスは「国を守りたい」という思いに駆られ、入隊希望としてはなかなか高齢な30歳という年齢で、SEALDsへ入隊することになる。
厳しい訓練を耐え抜いたクリスのもとに、次は「9.11」が起きる。
酒場で出会った女性の「タヤ」と結婚式をしているところに、「戦地派遣命令」が降りるのだった。
クリスは、イラク戦争でスナイパーとしての腕が磨かれていき、味方からは「レジェンド」と呼ばれるぐらいの凄腕スナイパーとなっていた。
そんなクリスを襲う、戦地での激しい銃撃戦と味方の死。
クリスは徐々に普通の生活ができなくなっていくのだった。
『アメリカン・スナイパー』は、ところどころ気になる点が多い迷作だった
まず、『アメリカン・スナイパー』を観た率直な感想としては、
「なかなかに気になる点が多いな…」
ということである。
私が思った『アメリカン・スナイパー』での気になる点をいくつか紹介しておこう。
- なぜ、クリスは高血圧になっていたの?
- クリスの弟は、なぜ「くそくらえ」といったの?
- 砂嵐に襲われた時、クリスは撃たれたっぽいけど大丈夫だったの?
こんな感じであろうか。
個人的に「え?」と思ったのが、クリスの弟の言動である。
クリスと同じように軍に所属した弟は、なぜかクリスと出会って「くそくらえだ…」的なことを言う。
その後、特に「なぜそんなことを言ったのか」を回収するシーンがあるわけでもなしに、物語は終わってしまう。
あと、なぜクリスは高血圧になったのだろうか。
「高血圧」という現象そのものが、戦地での強いストレスを物語っている…と解釈すればいいのだろうか。それともPTSD的なことと関連づけて解釈すればいいのだろうか。
「全てを映画で説明せよ」とは言わないが、『アメリカン・スナイパー』はこのように「気になるなぁ」という点が多くて、個人的にはちょいと不完全燃焼気味に終わってしまった…。
『アメリカン・スナイパー』の結末は?
『アメリカン・スナイパー』の結末だけをみると、なんのこっちゃわからない人も多いのではないだろうか。
クリスが「射撃訓練場に、仲間と行くんだ!」と言って、家族団欒しながら「行ってきます」的な感じで外へ出ると、そこにはちょっと挙動不審な感じのする軍仲間が待っていて、それを見守るようにタヤが玄関ドアからそっと見ている…という終わり方である。
そしてエンディングに入り、盛大なお葬式で『アメリカン・スナイパー』の幕は閉じる。
まぁ、言ってしまえばクリスは亡くなってしまった…というわけである。
映画内では詳しい説明はされていないが、クリスは実はその射撃訓練場に行った際に、その挙動不審な軍仲間から撃たれてしまって死亡したのである。
というのも、その軍仲間もクリスと同じようにPTSDになっていて、精神的におかしくなっていたのである。
その軍仲間は、クリスともう1人の退役軍人を射殺してしまったのだ。
事件後、軍仲間は「死刑にしてくれ…」と自分の罪を償うために死刑を申し出たが、裁判で結局終身刑に落ち着いた。
映画だけを見たのではここまでの裏ストーリーは把握できない。そういう意味でも、ちょっと説明不足感の否めない映画なのは言うまでもない。
だが、
「クリス・カイルという人物がどういう人物で、どんな最期だったのかは、自分で調べてみてほしい」
という監督の意図が見えないでもない。
「米軍にはこんなに素晴らしいスナイパーがいたのだ」
ということで、人々の記憶から消えないように、「自分で調べてみてくれよな」という思いが伝わってくる。
ちょっと…タヤが身勝手すぎる気が…
『アメリカン・スナイパー』で、私が個人的にイライラしたポイントがある。
それは、クリスの妻であるタヤ・カイルの言動である。
確かに、身ごもっている状態でそばに夫がいないのは女性としては不安だと思う。それはわかる。
それに、子どもが小さいのにそばにいず、ずっと戦地に行ってしまうのも奥さんとしては不安で仕方ないだろう。子育てをしたことないけど、自分の親が私にしてくれたことを考えると、
「大変だったろうな…」
と心底尊敬する。
なので、タヤがクリスを求める声もわからないでもない。
だが、クリスにとって「戦地」は仕事場なのである。
クリスが「俺はSEALDsなんだ」ということをずっと隠していたのならまだしも、酒場でタヤと出会った時には、「俺はSEALDsなんだ」とちゃんと公言している。
「俺はSEALDsなんだ」という公言はつまり、
「俺は戦うことを生業とし、戦地が仕事場なんだ」
と言っていることと同義である。
そのことをわかっていてタヤはクリスと結婚したはずである。
その辺の身勝手さというか…。クリスにはクリスの考え方があるわけなのだから、タヤはもう少し自分を抑える術を身につけるべきなのでは…と思った。
かと思えば、クリスが砂嵐から帰還したあとはなぜかクリスに優しくなってるし…笑。
タヤには、クリスも視聴者も振り回されっぱなしである。個人的にああいう女性は嫌いである。
あなたにとって、何が大事なのだろう?と語りかけてくる映画
『アメリカン・スナイパー』は、
「あんたの大事なものは、何かな?」
と語りかけてくる映画だったように思う。
というのも、『アメリカン・スナイパー』では基本的にクリスでの視点なのだが、タヤ的な視点でも「考察」することができる点があると思ったからだ。
まず、タヤ的な視点からみていこう。
タヤからすれば、「大事なもの」は家族である。
息子、娘、そしてクリス。自分にとってかけがえのないものが大事。それがタヤの視点である。
それに対して、クリスの視点はもっとでかい。
クリスは、確かにタヤや息子、娘を大事に思っていたし、かけがえのないものだと思っていたことだろう。しかし、クリスの視点はそれだけではない。
作中でも出てきたが、クリスは「仲間」、ひいては「国」という大きすぎるものを背負っていたわけだ。
だから、アメリカ大使館爆破事件をきっかけにして軍に入隊するわけである。
「俺が国を守らねば」的な考えに至ったと考えるに他ならない。
つまり、クリスにとって背負っていたものは「家族」をひっくるめた「国」そのものだったのである。
「あんたは何が大事なんだい?」
と語りかけてくる。そんな映画だった。
『アメリカン・スナイパー』を総合評価するなら?
『アメリカン・スナイパー』を総合評価するなら、星5中の星4評価である。
レビューには辛口な意見を述べてきたが、ぶっちゃけ評価としては高くても良い様に思う。
さすがクリント・イーストウッドとでもいうべきなのだろうか。
映像としてのクオリティは高いし、戦地でのおぞましい感じも表現できていた。
だが、星1を落としたのには理由がある。
『アメリカン・スナイパー』は、全体を通してみると、ちょっとダラけてしまう印象がある。
クリスが戦地に赴いていた時期と、本国に帰還していた時期の境目がよくわからなくなったりするので、ちょっとグダる。
その点を加味して、星4評価とした。
『アメリカン・スナイパー』はどんな人にオススメ?
『アメリカン・スナイパー』は、戦争のグロ描写に耐性がある人にオススメしたい。
『アメリカン・スナイパー』はそこまで「うわ、グロいな」という描写はないが、ちょっと生々しいシーンがある。
なので、そういうのに耐性がある人にまずはオススメしたい。
また、「戦争映画」というジャンルわけにはなっているものの、題材としてはヒューマンストーリー系なので、プライベートライアンの様なガチの戦争ものを期待しているとちょっと肩透かしを食らう点は注意が必要である。
終わりに
『アメリカン・スナイパー』についてレビューしてきた。
実は、『アメリカン・スナイパー』は公開当時に、
「あ、ちょっと見てみたいかも」
と気になっていた映画だった。
もともと戦争映画は好みだったし、映画のキャッチコピーで「160人を殺した」とあったので、
「凄腕のスナイパーの物語なんだな」
と興味を持っていたのである。結局見ずに時は過ぎて、つい最近VODにて発見。
「あ!アメリカンスナイパーじゃん!」
と歓喜して見終わった…という感じである。
やっぱ、映画は映画館で観るに限る様な気もするが…、ちょっとお高いのが玉に瑕である。